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DEAR~Love~

2013/03/14 Thu 00:00

『兆★弾★娘』のあおい様から頂いていた「DEAR」のお返事となります!

あー。なんとか間に合った!
次は『ヒカリ』だとさんざん言っていたのに、そっちは間に合いませんでした!すみません!
そのかわり、このSSでお楽しみいただけたらと思います。

次こそは必ず!!

DEARの蓮へのお返事となります、『DEAR~Love~』です。

あおい様に捧げます。




もう、勝手なんだから・・・。
そう思いながら、目からは自然に涙がこぼれていた。



DEAR~Love~



 “元気でやっていますか”

その文面で始まった手紙には、彼らしいきれいな文字が溢れていた。


『キョーコ!クオンから手紙が届いてるぞ!』
仕事が終わってお世話になっている家に帰ると、先に帰宅されていた家主が嬉しそうに手紙を届けてくれた。
映画の撮影でアメリカに来てすでに四か月以上を過ぎた。
私が拠点にさせてもらっているのは、恐れ多くもハリウッドスターのクー・ヒズリ氏のお宅。・・・そう、彼・敦賀蓮さんのご実家。

撮影の間はホテル暮らしだと当然思っていたけど、『自分の家があるのに、どこに住むというんだ!お前は!!』と一喝。
もちろん迷惑になるからと遠慮させていただいたのだけど、先生に続いて彼のお母様のジュリエナさんによる泣き落とし。
『キョーコがここに住んでくれないと、私の命は3時間よ!』

・・・慣れというのは恐ろしいわ。

でも、彼のご両親と忙しい撮影のおかげで、充実した日々が続いていた。

ただ、彼が傍にいないという寂しさはあったけれど。

役が抜けた瞬間に想うのは彼のこと。

今、どうしてる?何をしてる?
ちゃんとご飯は食べているのだろうか。
具合が悪くても無理をしてないだろうか。

―――私が傍にいないことを、寂しいと思っていてくれるだろうか。

逢いたい。
逢いたくて逢いたくてたまらない。

彼に愛をもらって、初めて知ったこの感情は、時に自分をダメにさせる。
知らなきゃよかったと思うことだってある。
でも、それにすがりたい自分もいる。

ねえ、傍に来て。
ぎゅっと抱きしめて。
寂しい・・・サミシイ・・・。
今すぐ飛んでいきたい。

もう限界だ、なんて思っていた時に届いた彼からの手紙。

今、私が貸していただいている部屋は、彼の部屋。
彼の気配が残るこの部屋で、彼からの手紙を開いた。


『君が映画のオファーをうけて渡米してから三ヶ月になろうとしていますね。
 文化圏に居る時はメールや電話、時差さえ気をつければネットで会話することもできました。それが俺たちの日常だったけれど、そんなあたりまえが、今はとてもありがたいものなのだと思い知りました。
 俺は今、この夏に放映されるネイチャー番組のロケに来ています。といっても俺はナレーションなんだけどね。現地に立つ俺の映像が必要らしいです。
 ネイチャー番組っていうだけあって、ここは田舎なんてものじゃない。ひどく辺鄙というか秘境に近いよ! とにかく人が居ないんだ。だから街もない。電気もない。
 一応、携帯の予備の電池パックは持ってきているし、手回し式の充電器(ほら、キョーコが停電や何かの災害時のためにって買ったやつ)も持ってはいるけど、何かあった時のために携帯は余り使わないでいようと思ったら、君への言葉が手紙になりました。
 ここは極寒の地でね、持って来てたペンはインクが凍っちゃったよ。だから鉛筆でごめん。台本チェック用のやつだけど一番活用してます。
 クリスマスに一時帰国した君との逢瀬が、まるで昨日のようにも、ずっと昔のようにも思えます。
 たぶん文化圏に居たなら俺はこんなことを書かなかったかもしれません。
 いや、どうかな。
 時間の問題だったかも。メールや電話は君との距離を近いものに思わせてくれたから、会えないことも仕事だからと笑っていられたのかもしれません。
 あの時、長期に渡るロケに悩む君を「俺の故郷だから堪能しておいで」なんて笑って送り出したはずなのに、そのうち誰と居ても、仕事中でも、俺は一人を感じるようになっていきました。気付かないうちに少しずつ俺の周囲に色がなくなっていき、しまいにはまるで重油の中でもがく鳥のように空気が重く感じられ、息苦しさを覚えていました。
 君に心配をかけたくなくて、気付かれたくなくて、ネットで顔を合わせるのがつらかった。でも君に会えないのも、触れられないのもつらかった。だからこの仕事にかこつけて、逃げるように日本を出ました。心配させてごめん。前からこの仕事はスケジュールに入ってたから、おそらくLMEで俺の行き先は確認できるだろうと思うけれど。ごめん。
 でも現地の案内スタッフと、撮影スタッフのギリギリ最少人数で、こうして大自然の中にいると少しだけ、息ができる気がします。
 地球の果ての地を紹介するのに、俺一人ではそこに辿り行くことができません。俺を含めスタッフの誰か一人でも歩けなくなればアウトなのです。誰かを背負っては辿り着けない所だから、それぞれが健康管理に注意しています。誰かに頼るのではなく、自分で管理しなければなりません。
 ここでも俺は一人です。でも、息苦しさが消えました。
 東京では重く感じられた押し寄せる様な人いきれが、ここでは目を皿のようにして探しても、どこにも見つからないのです。手を伸ばして誰かと繋がり、助け合う。そうしないと、そのロケ地まで行くことができません。
 ここで俺はひどくちっぽけな存在だと実感しました。
 それが当たり前だと思えるこの雄大な景色を君にも見せてあげたい。君と見たいよ。
 そして、手を伸ばして君に触れることができる奇跡を……。
 うん、俺は間違いなくキョーコ不足です。

 誕生日プレゼント、手配していってくれてたんだね。ありがとう。マリアちゃんから受け取りました。
 君からのメッセージカードを思い出して俺も手紙を書くことを思いつきました。弱音を吐くつもりはなかったんだけど、気がついたらこんなに書いていた。
 ねえ、帰国したら一緒に暮らさないか?
 お互いに待ち合わせをして、逢瀬を重ねて、できる限り一緒に時間をすごしてきたし、夜も重ねてきたけれど、でも帰る場所は別だったよね。
 俺は君が俺を待っててくれる所に帰りたい。君が仕事で留守にしている時でも、俺は君のところに帰りたいし、君を待っていたいと思う。君が俺のところに帰ってくると知っていたい。
 今は二人の仲を公表していない分、ハリウッドの連中が君に言い寄ってるんじゃないかととても心配してるよ。公表してても心配だけどね。(俺の年齢じゃ、やつらはヒヨッコって笑って相手にもしないだろうから。会えば目にものを見せてやれるんだが)
 ここも吹雪が収まり次第、発ちます。次のロケ地は南下して熱帯雨林に入るらしい。そして砂漠。
 長いと思う時間でも君が俺のところに帰ってくると思えば、離れていても君を感じることができるよ。
 だから帰国するまでに考えておいてくれませんか?
 俺と暮らすこと。
 俺と生きていくこと。
 君の一生を俺にくれませんか。

 愛している。』


きっと遠い遠い国から一か月以上の時間を旅してきたこの手紙。
急に連絡がつかなくなって、心配で心配でたまらなくて、勇気を出して事務所に彼の状況を確認した。
『蓮は今、なかなか連絡がつきにくいところにロケで行っててね、結構大変みたいだよ』
その返答に、ホッとしたのは、彼が無事だとかそういう気持ちからじゃない。

私から気持ちが離れてしまったんじゃないかって、彼の心を疑ったからだ。

こういう時、ちゃんと彼との仲を公表しておけばよかったと思う自分は、なんて卑怯な人間なんだろう。

公表しておけば、もしかして他に好きな女性ができたんじゃないかとか、私に飽きたんじゃないかとか、そんなこと考えなくてもいいくらいに彼を私に縛ることができたんじゃないかって・・・。
そんな汚いことを考えた。

彼はこんなにも私の事を想ってくれているのに。

ああ、神様。
できることならこの体を彼のもとに飛ばしてください。
直接伝えたいんです。
私もあなたのことを愛していると。

もっともっと彼の文字を見ていたいのに、涙で霞んでそれは叶わなかった。
次々と溢れて流れていく涙は、どうやって止めていいのかわからない。

彼の言葉が嬉しくて。
彼の想いが嬉しくて。
彼の文字が愛しくて。
彼からの手紙が愛しくて。

でも、傍にいないのが悲しくて。


『PS.バレンタインに君の所に直行する予定だったのに、このままじゃ指輪だけ先に君に届くことになってしまう。この吹雪にはホント泣かされるよ!』

指輪だって彼だってバレンタインには届かなかった。
彼の今回の仕事は、それだけ長期で時間を取った大がかりなものだったのだろう。

「バレンタインどころか、今日はもうホワイトデーですよ。久遠さん・・・」

「私も、愛してます。・・・だから、早く私のもとに帰ってきてください・・・」

その時は、あなたのお願いをなんだって叶えてあげますから。

心の中でそう思った瞬間、温かい春風に包まれた。


「うん、遅くなってごめんね?」


「・・・遅い・・・です」
「うん、ごめん」
「・・・私が、どんなに心配したか・・・わかりますか・・・?」
「うん」
「私が・・・どんなに・・・」
「うん、俺も逢いたかったよ」

後ろからぎゅっとぎゅっと抱きしめられて。
私は逞しいその腕に顔を埋めた。

すっと息を吸うと、安心する彼の香り。

「ね、キョーコ。顔を見せて?」
「・・・いやです。顔、グチャグチャ」
「キョーコの顔が見たい」
「ちょっと待ってください」
「嫌だ。はやくかわいい顔を見せて。ちゃんとキョーコだって確認させて」
「だって、今、ブサイク・・・」
「な、わけないだろう?」

腕を解かれた瞬間に、体を回されて、そしてすぐにまた体を拘束された。
顔を上げさせられて、見えるのは彼のきれいな顔。

「ああ、やっぱりキョーコはかわいいね」
そう言って、彼の唇が降ってくる。

欲しくてたまらなかった彼のぬくもり。

「逢いたかった」
「私もです」
「愛してる」
「ん、私も・・・愛してます・・・」

何度も何度も降ってくる口づけは、どんどん深くなっていくけど、それすらも物足りなくてたまらなかった。

もっと欲しくて、いっそ溶け合ってしまいたかった。


ひとしきり口づけあった後、彼の腕の中でまどろんでいると、左手の薬指に冷やりとした感触。

「これ・・・」
「うん。実はバレンタインに届くようにしてたんだけどね、やっぱり自分で渡したかったから父さんに頼んで隠してもらってたんだ」

キラキラしたそれは、とても綺麗で。
これを彼はどんな気持ちで選んでくれたのだろうか。

「最上キョーコさん。手紙の返事を頂けますか?」

返事なんて、決まってる。

私もあなたとこの先ずっと一緒に生きていきたい。


「返事は、言葉か婚姻届のサイン、どちらがいいですか?」


「できれば、どっちも頂きたいです」



fin





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