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ヒカリ 1

2012/03/13 Tue 21:04

・・・風邪引きましたorz
だからPC開くのも億劫で、UPすんのまた今度と思ったりもしたのですが、なんとか開きました。
そんでタイトルもボーっとしながら考えて・・・。

完全に暗い、超暗いお話になると思われます←
それでも読んでやろうじゃないか!って方だけお進みください。
あ、でもちゃんとハピエンですからねー^^

皆様も風邪にご注意くださいm(__)m








頑張れば治せるって、どうしてあの時はそう思ったんだろう。
私が思う程、私の世界は優しくなんてなかったのに。



ヒカリ 1



マリアちゃんの誕生日。
毎年この日だけは仕事を午前中だけにしてもらって、会場である社長宅の迎賓館に向かう。
毎年恒例となったグレイトフルパーティーの料理やデザートの一部を、今年もプロデュースさせてもらった。
ありがたいことにお仕事の量も年々増えてきているから、さすがに全てのお料理のプロデュースは時間の都合でできなかったけど、それでも私の料理を嬉しそうに食べてくれるお客様の笑顔が忘れられなくて。
だから、仕事を終わらせて会場に行かなければいけないのに。

シンとした張り詰めた空気の中、聞こえるのはドクドクとした私の心臓の音。
背中に嫌な汗が流れる。

今、私がいるのは高層ビルの一室。
座らせられたソファからは、地上の建物なんて見えなくて、壁一面に設けられた窓からは青い空が広がっている。

その真ん中に見えるのは、最も逢いたくなかった人物。

なぜ私はここにいるんだろう?
なぜ目の前にこのひとが・・・?

「キョーコ」

「は・・・い・・・」

自分の体が固まるのがわかる。
昔からこの人に名前を呼ばれると、私は萎縮してしまう。

「あなたも明日で二十歳ね」

「・・・・・・え・・・?」

びっくりした。
この人が私の誕生日を・・・ましてや歳を覚えているなんて思わなかったから・・・。

「おかあさ・・・」
「もう保護者は必要ないわよね」

「え・・・?」

まっすぐ見つめられた瞳は、以前と変わらず冷たいもの。

「あなたも仕事をしているようだし、母親は必要ないでしょう?」

「あなたはあなたで好きにしたらいいわ」

「不破の家も勝手に出て、私がどんなに恥ずかしい思いをしたか。そんな自分勝手な人間に育つなんて。あなたが未成年だったからそのままにしていたけど、もう成人になるんだしあなたから解放されてもいいわよね」

「私もあなたに関わらないように生きていくから。あなたもこの先の人生で私に頼ったりしないようにね。あなたに親はいないと思ってちょうだい」

淡々と話す言葉には抑揚なんてものは微塵もなくて。

「私とあなたの親子関係は今日で終わり。残念ながら戸籍上は親子のままだけど。ああ、養子縁組したいならいつでもそれに応じるわ。そのときは弁護士を通してもらえるかしら?」

話は終わりとばかりに、目の前の女性は立ち上がった。

「仕事が立て込んでるの。あなたも仕事があるんでしょう。ここはもういいわ」

「あ、そうそう。誕生日おめでとう。あなたみたいな迷惑しか掛けられないような子を雇ってくれる奇特な会社なんてそうそうないんだから、あなたのその、人の顔色伺う癖を使いこなして見限られないようにしっかりと働きなさいね」

「さようなら、キョーコ」



どうやって立ち上がったのか、どうやってそこまで歩いたのか記憶はないけど、気づいたのはドアがパタンという音を立てて閉まったときだった。
綺麗な茶色のドアが目の前にあった。
さっきまで、このドアの向こうにいたはずなのに、そこに入ることはもうできない。
鍵は掛かってないのに、このドアを開けることはできない。


―――サヨウナラ、キョーコ

アナタニオヤハイナイトオモッテチョウダイ。
サヨウナラ。

ああ、私は捨てられたんだ。

―――ハハオヤハヒツヨウナイデショウ。

「クス・・・親らしいことなんて一度もしてくれたことないくせに・・・。よく言うわ・・・」

そうね・・・必要ないわ・・・。
現にあのひとがいなくたって、私はこうして生きてくることができた。
これからだって大丈夫よ・・・。

静かで長い廊下を歩く。

大丈夫。
こんなことなんでもない。
私の生活は変わらない。

今までと何も変わらない!

いつのまにか早足になっていて、あっという間に外に出る。冬の冷たい空気が頬を刺した。

上を見ると、高い建物が空を多い尽くす。
青い空なんて見えなかった。



突然目の前に止まった車は、母親の秘書という人が乗っていて、有無を言わさず車に乗せられて高層ビルの中に入った。
扉を抜けたその先には、母であるあの人がいた。
私の誕生日をあの人が口にしたとき、うかつにも期待してしまった。

母が私の誕生日を覚えててくれて、祝ってくれることを。

私の誕生日を喜んでくれることを。

母の笑顔を少しでも見れるんじゃないかって・・・。

でも違った。
そういうことはありえなかった。

もう二度と、母が私を見ることはない。

私に親と言える人はいなくなった。
私は捨てられた。
唯一の肉親に。

唯一の肉親にさえ愛してはもらえなかった。


「ああ・・・本当に私は・・・」


頑張ればどうにかなるって思ってた。
でも、どうにもならないものもあるって知った。

「迷惑しか掛けられない、人間・・・。本当にその通りだわ・・・」

小さいころから、女将さんや大将に育ててもらって・・・それだけで迷惑を掛けていたのに、礼も言わずに家を出てショータローと東京に来た。
それから、だるまやのお二人に無理を言って下宿させてもらった。
椹さんに取り巻いて事務所のオーディションを受けさせてもらって・・・。
嫌がるモー子さんを自分と一緒のラブミー部に引き込んで・・・。
敦賀さんにだって・・・たくさん迷惑を掛けた・・・。

―――アナタミタイニメイワクシカカケラレナイコ

ワタシハミンナニメイワクヲカケルソンザイ

頑張ってきたつもりだった。
でもどこまで頑張れば私は迷惑かけずに生きられるのだろう?

「・・・そんなこと、わからないよ・・・」

思い返しても、私の存在は迷惑以外のなんでもなかった。
皆が優しいから気づかなかった。
皆の優しさに甘えていた。

「めいわく・・・・あ・・・・そうだ・・・。行かなくちゃ・・・」

マリアちゃんが、待ってる・・・。
今日はあの子の誕生日だから・・・。
私が行かなきゃ、私が任されている料理もデザートも出すことができない。
私が行かなきゃ・・・迷惑が掛かるから・・・。

行かなきゃ・・・。

せめてあの子の誕生日を、笑顔で迎えさせてあげたいから・・・。


***


「お姉さま!お待ちしておりましたのよ!」
急いで迎賓館に行くと、マリアちゃんが笑顔で抱きついてきた。
それを受け止めて、遅れてごめんね?さっそくお料理に取り掛かるわ、と笑顔で返す。

笑って。
笑って。
笑って。

たくさんの人たちに楽しんでもらえるように。
たくさんの人たちにありがとうと、・・・・ごめんなさいを込めて。

「最上さん」
「敦賀さん!ようこそお越しくださいました!」
「お招きありがとうございます」
紳士らしく、丁寧な挨拶をされる敦賀さんに、他のゲストの女性たちが色めく。
「どうぞ楽しんで行かれてくださいね!」
「ありがとう」

笑って。
笑って。
笑って。

笑わないといけない。
じゃなきゃここにいる意味がない。

「じゃあ、私はまだ仕度がありますのでこれで」
敦賀さんにペコリとお辞儀をして離れる。
聡いこの先輩の近くにいるわけにはいかない。
私はまだ演技でこの人には敵わないから。
気づかれる前に離れないと。

そう思ったのに、くんと腕を掴まれる。
「最上さん、顔色が悪いけど・・・具合が悪いんじゃない?」
敦賀さんは背中を丸めて私の顔を覗き込む。
心配そうに・・・。

「だ、大丈夫です!具合なんて悪くありません!元気だけがとりえですから!私のことなんて気にせず楽しんでください!あ、ほら!マリアちゃんがあそこにいますよ!どうぞ祝ってあげてくださいね!」

敦賀さんの腕から自分の腕をはずし、敦賀さんをマリアちゃんのもとへ連れて行った。
マリアちゃんは嬉しそうに敦賀さんに抱きついた。
少しお姉さんになったマリアちゃんは、とても可愛くてとても綺麗な女の子に育っていて。
愛されて育った子はこんなにも輝いている。
願わくば、このまま綺麗な世界でいて欲しいって思う。

「お姉さま!」
敦賀さんからプレゼントされた花束を持って満面の笑みで私のほうに駆けてくるマリアちゃんは、どこかの国のお姫様みたい。
「お誕生日、おめでとう。マリアちゃん」
「ありがとうございます!私、今年もお姉さまと一緒にこのパーティーを開けて、本当に嬉しいですわ!」
「私もよ。ありがとう、マリアちゃん」

笑って。
笑って。
笑って。

この時間が終わるまで、笑って。

この時間が終わったら。


「HAPPYBIRTHDAY!キョーコ!!」


最上キョーコが終わる。



つづく





さ、完全見切り発車スタート!(←いつもじゃないか・・・)
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