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優しい時間 38

2011/03/24 Thu 00:00

もう、本当に申し訳ないほど遅い更新ですね。

久しぶりの「優しい時間」でございます。

更新が遅い上に、進みも遅いこのお話しは・・・。
一体いつ完結するのだろう(汗)

完結しないことにはブログ閉鎖もできないですしね!
まあ、今のところ閉鎖も考えてはおりませんが。
気ままに更新して行きますよ~!

ではでは、お待ちいただいた方も、そうでない方も、よろしければ続きより『優しい時間 38』をご覧くださいm(__)m










瞬間が宝物になる。



優しい時間 38



「あ・・・あの・・・蓮兄・・・?」
「ん?」
「そろそろ離してもらいたいんですど・・・」
「どうして?」
「どうしてって・・・・・・・・・・・。・・・・・・目立ってます」
「そう?」

そうって・・・蓮兄・・・。
かなり・・・目立ってますけど・・・。
視線が痛い。
ひとつふたつの視線なんかじゃなくて・・・・それはもう沢山の視線がブスブスと突き刺さる。
そりゃあ人間には目が2つだからヒトの数×2の視線が・・・いやいや、そうじゃなくて・・・。
混乱するな!私!
ああほら・・・悲鳴まで聞こえるわ・・・。

それもこれも蓮兄がこんな場所につれてきたことと・・・そしてこの、繋がれた手。
何度も離そうとしているのに繋がれた手は緩まるどころかますますぎゅっと握られる。
絶対に離さないとでもいうように。

しかもその手を離さない張本人からは怒りのオーラが出まくってるし・・・。

確かに蓮兄と買い物をしようと思っていたけど、私が行きたかったのは夕食の食材選びのためのスーパーであって、こんなに人が集まるショッピングモールなんかじゃなかったんですけど・・・・。
蓮兄と私がショッピングモールの中に入ったとたん、上がったのは「きゃあ!」という悲鳴。
そりゃあそうでしょうとも。
ばれますよ。
ひとつも変装なしですから。
まんま敦賀蓮ですから。
しかもこんなちんちくりんと手を繋いでなんて・・・。

「蓮兄、離してください」
「嫌だ」
「嫌って!どうしてここなんですか!?」
「ここに行きたかったから」
「何か欲しいものがあったんですか!?」
「別にないけど」
「じゃあなんでですか!?こんなふうだとお店の方々にも、他のお客さんにも迷惑です!」
「俺たちも客だろう?」
「客じゃありません!特に何も買うものもないのに!」
「客だよ。ウィンドウショッピングだって、ただ一緒に色んなもの見て回るだけだっていいだろう?」
「う・・・・」
確かにそうなんだろうけど・・・。
でも、あなたは敦賀蓮なのにこんなふうに出歩くなんて・・・。
「それに俺が欲しいものはなくても、買いたいものはあるんだ」
「え?」
欲しいものじゃなくて買いたいもの?それってイコール欲しいものじゃないの?

「さ、キョーコ。あの店に入ろう」
「え?・・・・え・・・?・・・・ええ!?」
ずんずんと蓮兄に引っ張られてひとつのお店に入っていく。
「いっ・・・!いらっしゃいませえ!!」
ほら、店員さんもびっくりして声裏返ってるじゃない・・・。

「キョーコ、どんなのがいい?」
「は?」
蓮兄が洋服を持って私に当ててくる。
「うん、キョーコはかわいいからどんなのでも似合うね」
「・・・蓮兄・・・?」
「あ、あっちは?あの服はどう?」
「・・・・・」

蓮兄が女の子の服を選んでる。
次々と私に当ててかわいいと言う。
こんな場所に・・・絶対にこんな場所に来てはいけない人なのに・・・。

ねえわかってるの?蓮兄。
私、蓮兄の妹じゃないって・・・ここにいる人たちみんな知ってるんだよ?
蓮兄が女子高生と同棲してるって・・・変なふうに誤解されてるんだよ?
それなのにあなたは、こんなふうに堂々と私の手を繋いで・・・。
私に笑いかけてくれる。

「キョーコ、色々俺に着てみせて?」
「・・・蓮兄・・・」
「ん?」
「なに・・・やってるんですか・・・?」
「キョーコに洋服選んでる」
「それは、わかります」
「じゃあ、はい。これ着てみて」
「蓮兄の欲しいものって、これですか?」
「うーん。似て否なるもの、かな」
「似て否なるもの?」
「さ、はい。すみません。試着お願いします」

蓮兄が店員さんに洋服を渡し、私をフィッティングルームに連れて行く。
「あ、あの。蓮兄?」
「待ってるから。ちゃんと着たら見せるんだよ?」
「・・・はい」

フィッテングルームで蓮兄の選んでくれた洋服を見ると、それは大人っぽいワンピース。
こんなの着たことないし、似合わないのに・・・。

・・・これが似合う女性だったら・・・蓮兄の隣にいてもおかしくないのかな・・・。

これを着た綺麗な女性を思い浮かべる。
モデルさんや女優さんみたいに綺麗でスタイルもよくて。

―――大人で。

ああ・・・なんか嫌だな・・・気持ちが重くなる・・・。
せっかく蓮兄が選んでくれた服だけど、服に着られる自分を蓮兄に見られるなんて・・・。

「キョーコ?着替えた?」
扉の向こうから蓮兄が聞いてくる。
「ま!まだ!ちょっと待ってください!」
慌ててワンピースに着替えて、鏡も見ずに扉を開けてしまった。
開けてから、しまったと思った。

ちゃんと鏡を見て、覚悟を決めてから出てくればよかった。
だって、蓮兄・・・無表情になってる。
・・・そんなに似合わなかったのかな・・・。

選んでくれた蓮兄に申し訳なくて、さっさと目の前から消えようと扉を閉めようとした。
―――けど、それはできなかった。
蓮兄が扉が閉まるのを手で止めていた。

「キョーコ?どうして閉めるの?」
「だって似合わないでしょう?着替えてきます!」
「似合わないなんて思ってないよ」
「嘘です!」
「嘘は言ってない。むしろよく似合ってて・・・びっくりした」
「・・・・、・・・・え・・・?」

似合ってる・・・?
この服が・・・?

「・・・お世辞は・・・いいですよ?こんな大人っぽい綺麗なワンピース・・・」
「お世辞なんて、俺と君はお世辞が必要な関係じゃないだろう?」
「関係って・・・」

ちら、と視線だけ動かして蓮兄の後ろのほうを見ると、蓮兄見たさの野次馬さん達が遠巻きに私たちを見ている。
蓮兄はそんなふうに言ってくれるけど、ああ・・・もう・・・なんだかいたたまれない。
ただ恥ずかしいだけだ。

「やっぱり着替えてきます。私には似合いません」
「キョーコ・・・」
ふう、と蓮兄が寂しそうに息を吐いた。

ちゃんと自分で鏡を見ても、これが本当に私に似合っているのかどうかわからなかった。

元の服に着替えて、ワンピースを掛けてあった場所に戻そうとすると、蓮兄がそのワンピースを奪ってレジに持っていった。
「蓮兄!?」
「これください」
「蓮兄!私いりません!」
「いいから、包んでください」
私の言葉に店員さんはオロオロしながらも、袋に包み始める。
「蓮兄ってば!」
「キョーコ。そんなふうに大声で叫んだら他のお客さんにも迷惑だよ」
「でも!」

だって・・・・
「・・・それが似合うほど大人じゃないのに・・・」

ポソリとつぶやいた言葉だった。
蓮兄にも店員さんにも聞こえないように言った言葉だった。

それなのに

「俺の言葉は信じられない?」
「・・・・!」

ばっと顔を上げると、そこには優しくて・・・少し寂しそうな蓮兄がいた。

ちがうの。
信じられないんじゃない。
ただ・・・自分に自信がないだけ。
大人になりたいのに大人になりきれない自分が居るの。
このままで居たくて、でも居られないのもわかっていて。

どうしたらいいんだろう。
どうしたらうまくいくんだろう。
どうしたら答えが出るんだろう。

どうしたら・・・

「キョーコ」
ぽんぽんと頭に触れた暖かい温度。
「今でもよく似合ってると思うけど、キョーコが自分でも似合うと思えるようになったら着てくれていいから」
「・・・蓮兄・・・」
「ただし、これを着ている姿を一番に見せるのは俺にしてね」
「・・・っ」

なんてことを言うんだろう、この人は。
こんな人前で、そんな歯の浮くようなセリフを平然と。
やっぱりアメリカ人なんだと再確認。

「ただの・・・無駄遣いですよ?」
「無駄なんてひとつもないよ。俺がキョーコに着て欲しくて買ってるんだから。結局俺のためでもあるんだし」
「・・・蓮兄の言っている意味がよくわかりませんが・・・」
「いいの。俺はよくわかってる」
そう言いながら、蓮兄はさっきのワンピースの入った袋を店員さんに受け取った。
その袋を持っていないほうの手で、今度は私の手を握った。
「さ、行こうか?」
にっと笑って視線をくれて、私を引っ張る。
強くて優しい力に引っ張られて、前を見ればあったはずの人垣がさあっと開かれていく。

いいんだろうか、こんな特別があって。
私なんかがこんな特別をもらってしまっていいんだろうか。

本当はね、本当は・・・。

「あっ・・・あの!蓮兄!」
「ん?」
歩く速度はそのままに、蓮兄が顔だけ私を見た。

「・・・・・あ・・・あの・・・」
「うん」
「・・・ありがとう・・・ございます・・・。蓮兄・・・」
「!!!!」
「うわ!」
ぶ!
蓮兄が急に立ち止まったから、私は歩いていた勢いのまま蓮兄の背中に顔を打ち付けた。
ただでさえのっぺらな顔をしているのに、さらに鼻がつぶれた可能性があるわ、なんて思いながら自分の鼻をさすっていると、私のそれを蓮兄がつまんだ。
なにするんですか!って抗議しようとしたら、ふわっと香る蓮兄のにおい。

気づいたら、顔のすぐ近くに蓮兄の顔があった。

「あんまり可愛い顔、しないで」
それは私の耳元で小さく放たれた音。

もう、どう反応していいかわからなかった。
わかるのは、怖いくらいドキドキしていることだけ。

好きになってはいけないと、身分不相応だとわかっているのに加速する。
蓮兄が好きだって全身で言ってる。

「ほら!次いくよ!キョーコ!」
「え!?どこにですか?」
「ワンピース買ったし、靴でもどう?コートもそろそろ必要になってくるね」
「は!?」
「は?じゃないよ。はやくしないと時間無くなる。食事も作らないといけないんだから」
「いえ、ワンピースだけで充分です!もうスーパー行きましょうよ。明日も蓮兄お仕事なんでしょ?はやく帰って休まないと!」
「嫌だ。キョーコと買い物に行ける機会なんてめったにないし、むしろ初めてだし!もっと堪能してから帰る」
「蓮兄~~~!」

ぐいぐいと引っ張られながら、ショッピングモールを二人で歩く。
みんなみんな私たちを驚いてみてるよ。
敦賀蓮が、トップスターが・・・撮影でもなんでもなくこんなふうに女の子と歩くなんて。
なんて非常識。
「蓮兄、きっとあとで社さんとか社長さんに怒られますよ?」
「きっと大丈夫だよ」
「そうでしょうか」
「うん、絶対大丈夫。キョーコとデートしたって言ったら、きっと2人とも喜ぶと思うよ」
「デートって・・・」
「デートでしょ」
「・・・・・・・・・・・・」
「うんって言って?」
「えっと・・・・、・・・・・、・・・・・はい」
「うん。よろしい。じゃ、次はあの店に行こうか!」

流されよう。
今はこのまま。
初めてのデート。
きっと最初で最後のデートになるね。

「蓮兄!帰ったら話したいことがあるんです」
「わかった。まずはデートを楽しんでからね」

つながれた手を、ぎゅっと強く握り返した。



つづく





本当はもっと話を進める予定だったんだけどなあ・・・。
どうして毎回こうなんだ、私orz
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