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優しい時間 36

2010/08/18 Wed 00:00

一ヶ月に一回の更新ってどうなの、私!!!!

まだまだ連勤続きます。

そしてまだまだ続く優しい時間。

どうぞよろしくお願いします。










まぶしいくらいの藍。
それがうらやましくて、淋しかった。




優しい時間 36



気持ちいい。
あったかくて・・・いい香りで・・・。
耳元でトクリトクリと安心する音がする。
なんだっけ・・・これ・・・。
懐かしい音。
ああ、私よくこうやって蓮兄の心臓の音聞きながら眠ったっけ。
この音が大好きで蓮兄の家に泊まりに行ったときには、パパとママのベッドを夜中に抜け出して蓮兄のベッドにこっそりもぐりこんだ。
蓮兄は私が来ることをわかってたかのように、いつだってもぐりこんだ私をぎゅっと抱きしめてくれた。
ぎゅって抱きしめたあと、おでこにキスをくれるの。
ほら、今みたいに・・・。

え・・・?

あれ・・・?



―――愛してるよ



蓮兄・・・?
今・・・・・・






・・・ポーン・・・


あ・・・

ピンポーン・・・

誰だろう・・・お客様・・・?

ピンポーン・・・

待って・・・今はまだ起きたくないの・・・。
だって今すごく気持ちよくて・・・このままでいたいの・・・。
ほら、トクントクンって安心する蓮兄の音。
もっとそばで聞かせて。
もっとぎゅっと抱きしめて・・・。

・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・・・・

「・・・って・・・ええ!?」

ピンポーンと鳴り響くインターホンの音に慌てて起き上がると・・・・
いや、起き上がろうとしたけど、私の身体は何かに押さえつけられたかのように起き上がることができなかった。

!!!!!

な、なんでここに蓮兄が寝てるの!?
いつ帰って・・・っていうか、私部屋の鍵掛けてなかったっけ!?

ピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンと痺れを切らしたかのようなインターホンの嵐に、きっと社さんが蓮兄を迎えに来たんだと悟った。
「蓮兄!起きてください!仕事ですよ!!」
かろうじて動かすことのできる手で、私に巻きつく蓮兄の腕を叩いてみる。
「う~~~~ん・・・・もう少し・・・」
間延びした寝ぼけ声で、そう答えたあと、蓮兄はまたぎゅっと私を抱きしめた。
それがとても愛おしくて、できればこのままでずっといることができたらいいのにって思ってしまう。
そんなことは叶わないことはわかっているけれど。

「・・・蓮兄・・・」
「・・・・ん・・・?」
「はやく仕度しないと・・・お仕事遅れちゃいますよ・・・」
「・・・うん・・・、・・・・・・・」
「・・・蓮兄・・・?」
返事はすれど一向に動く気配のない蓮兄。蓮兄の顔はずっと私の顔の横に埋められてて、私からは見えなくて。
一体今、蓮兄はどんな顔をしているのだろう。
「れ・・・」
「ねえ、キョーコ・・・」
「・・・・はい・・・?」
「俺がいるよ・・・?」
「え・・・?」
「俺がいつだって・・・そばにいるから・・・」
耳元で・・・少しだけ淋しそうに蓮兄が言った。
「誰よりも・・・久遠よりも・・・キョーコの一番そばにいるのは俺だから・・・それだけはちゃんと覚えておいて・・・?」
「・・・・っ」
何か言葉を出したいのに、なぜか喉に詰まったように声が出なくて。
ただ、蓮兄の声にどう答えたらいいのかわからなかった。

「キョーコ・・・」
ふと気づけば、むくりと起きた蓮兄が私を覗き込むように見ていた。
蓮兄の綺麗な碧い瞳がまっすぐに私を捉える。

・・・なんて深い色なんだろう。
こんなに綺麗なのに、いつもはカラーコンタクトで隠されているなんてもったいない。
・・・もったいないよ・・・蓮兄・・・。

「ねえ、今・・・何考えてるの・・・?」
「え?」
蓮兄の瞳に見入っていた私を、蓮兄は現実に引き戻す。

「・・・蓮兄の・・・」
「俺の・・・?」
「目の色・・・綺麗だなあ・・・って・・・」
「・・・え・・・?」
ん?
あ・・・れれ・・・?
「蓮兄・・・」
顔・・・赤い・・・?
かろうじて動く腕を伸ばし、蓮兄の頬に触れようとすると、蓮兄がぱっと顔を背ける。
そして自分の顔を隠すように腕で顔をガードした。
今までこんな蓮兄を見たことがなくて、私は呆然としながらただ蓮兄を見ていた。
「い・・・や・・・、あ・・・」
ますます赤くなっていく蓮兄の顔から目が離せなかった。
きっとこんな蓮兄を見たのは私だけなんだって、ちょっとだけ優越感さえ感じる。
「蓮兄・・・」
もっと見たくて私は蓮兄の両頬を手で包もうとした、その時―――

ピリリリリピリリリリピリリリリ

大きな携帯電話の音が、頭元から聞こえた。
蓮兄から目がそらせないまま、私は軽帯電話を耳に当てた。

『いいかげんに出なさいよ!!!何回インターホン押させれば気が済むのよ!!!さっさとここ開けなさい!!!』
!!!???
「も、モー子さん!?」
耳元で大きく響いたモー子さんにびっくりして、蓮兄もモー子さんの声が聞こえたのかがばっと私を解放して飛び起きた。

「・・・あー・・・、もうこんな時間か・・・」
ワシワシと頭をかいて、蓮兄はベッドを抜け出し、私も後を追って部屋を出て、モー子さんの待つ玄関に向かった。

「んもー!!一体何時間待たせる気かと思ったわよ!」
「ごめん・・・。社さんもすみませんでした・・・」
「ん?いや、俺はまだ大丈夫だよー。蓮ももう少し時間あるしね」
「・・・すみません・・・」
玄関を開けるとモー子さんの隣に社さんも居て。きっと社さんもいたから、モー子さんもこの玄関の前まで来ることができたのだろう。
「蓮は?」
「あ・・・今シャワー浴びに行ってます」
あの格好は昨日蓮兄が出かける前と同じ服装だったから、帰ってきてそのまま眠っていたのだろう。
なぜ私の隣で眠っていたのかは謎だけど。

「ほら、あんたも早く支度しなさいよ」
「へ?」
「へ?じゃないわよ!今日は平日!ちなみに昨日も平日だったけど!?さっさと支度して学校に行くわよ!」
私の腕をぐいぐいと引っ張って、モー子さんが私の部屋に向かう。
「で、でも学校って行って大丈夫かな!?」
「何言ってんのよ!あんたは生徒なんだから!授業料もちゃんと払ってるんだからあんたは行って学ぶ権利があるのよ!」

恐いくらい力強かった。
私にはこんなに力をくれる親友が居ることがとても嬉しかった。
「キョーコ、行っておいで」
「琴南さんがいれば恐いものなしだね、キョーコちゃん」
社さんと、いつのまにかシャワーを終えた蓮兄が笑顔で立っていた。
「はい・・・!」

制服に着替えてモー子さんと玄関に行くと、蓮兄も玄関まで来てくれた。
モー子さんが玄関の外に出た後、蓮兄が気をつけて行っておいで、と言った。
「はい」
「俺も今日は早めに終わる予定だから。終わる時間はまたメールする」
「はい」
「今日はハンバーグがいいな」
「材料、買ってきますね」
「それから・・・・」
「?」
蓮兄がかがんで私の耳元に口を近づける。
洗いたてのシャンプーの香りにドキドキした。

「ベッドで言ったこと、寝ぼけて言ったんじゃないから」
「へ?」
ベッドで言ったこと??
「さ、行っておいで」
蓮兄がドアを開けて私の背中をポンと押した。
そしてドアがガチャリと閉まったとたん、私は蓮兄の言葉の意味を理解した。

「ちょ!?あんた顔赤いわよ!?どうしたのよ!?」

―――誰よりも・・・久遠よりも・・・キョーコの一番そばにいるのは俺だから・・・それだけはちゃんと覚えておいて・・・?

なんて贅沢なことなんだろう。
今は蓮兄の一番でいられることを、蓮兄自身が認めてくれている。
ちゃんと知っているよ。ちゃんとわかってるよ。
蓮兄と暮らせるようになってから、私ずっと幸せだよ。

「ほら、行くわよ」
いつもは手を繋いでくれないモー子さんが、私の手をぐっと強く握ってくれた。



***



「あ、ほら。あの子でしょ。敦賀蓮と暮らしてるって子」
「本当にあの子なの?大して可愛くないじゃん」
「そりゃあの程度なら敦賀蓮が女としては見ないだろうけど、問題は一緒に暮らしてるってことでしょ」
学校に近づくにつれ、痛いほどの視線とあからさまな話し声が全身に突き刺さる。
「キョーコ、気にすることはないわよ」
伸びた背筋で堂々と歩くモー子さんに引っ張られて私の足はまっすぐに進む。

「あ・・・」
「んもう!!一体何だってのよ!こんなことするなんてガキじゃあるまいし!!!高校生にもなってしていいことと悪いことの区別もつかないわけ!?」
下駄箱に行くと、私の上履きがびちゃびちゃに濡れていた。
本当はこのくらいのこと、ちゃんと覚悟していた。モー子さんと学校に行くと決めたときから。
「大丈夫だよ。モー子さん。スリッパ借りるから」
「大丈夫じゃないわよ!!!」
来客用のスリッパを履いて、たくさんの視線に気づかないフリしてなんとか教室までたどりつくと、最上・・・と声を掛けられた。
「・・・椹先生・・・」
「ちょっと話、いいか?」
「・・・・はい・・・」
申し訳なさそうな先生の表情に、どんな話なのかどんな答えを求めているのかなんて簡単にわかってしまった。
心配そうな顔をしているモー子さんに精一杯の笑顔で行ってくるねって言った後、私は椹先生と共に進路指導室に向かった。

「なあ最上・・・。週刊誌の記事は本当のことなのか?・・・その・・・お兄さん・・・敦賀蓮さんとは・・・血のつながりがないって・・・」
―――ほら・・・やっぱり・・・。
「今は二人で暮らしているんだろう?本当に他人同士で暮らしているんであれば・・・」
「・・・暮らしてたら・・・どうなんですか?」
「いや・・・その・・・な・・・」
言いにくそうに私から視線をそらして椹先生は言葉をつむぐ。
「最上はまだ高校生だし・・・やっぱり学校的にも高校生の女の子が血のつながらない男と一緒に暮らすのはどうかと・・・」

血のつながらない男・・・確かに蓮兄と私はそうだけど・・・
でも、恋人とかそういう関係は全くなくて、ただ・・・蓮兄は私を妹のように・・・

―――好きだよ


―――好きだよ。キョーコ・・・。

一緒にいられたのは、私たちが兄妹だったから。
私が子供だったから。
私たちに恋愛感情がなかったから。

じゃあ、今は?
高校生だから蓮兄と一緒にいられないの?

高校生じゃなかったらよかったの?
高校生じゃなかったら蓮兄と一緒にいてもよかったの?
高校生じゃなかったら蓮兄に迷惑を掛けなくてすんだ?
蓮兄のイメージを壊すことがなかった?

・・・違うね。
私たちが本当の兄妹じゃなかったからいけないんだ。

どうして私たちは兄妹じゃなかったんだろう。

蓮兄の瞳がまぶしかった。
パパとママの綺麗な瞳とよく似た蓮兄の瞳。
私も同じならよかったのに。
最初から本当の家族ならよかったのに。

蓮兄の・・・本当の妹ならよかったのに。

そしたら誰にも迷惑掛けずに・・・蓮兄のそばにいられたのに・・・。


「先生・・・私・・・」


馬鹿みたいに毎日笑って・・・蓮兄のそばにいられたのに。


「学校、辞めます」






―――キョーコの一番そばにいるのは俺だから






一番近くにいるのに、本当は一番遠いね。
蓮兄・・・。



つづく





無駄に長くてスンマセン(;;)
っつか、優しい時間はキョコのキャラ崩壊が著しいな・・・orz

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