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お見合い夜話 1

2010/07/12 Mon 00:00

さあ、今日は先日告知した素敵な頂き物をUPさせていただきますよ!!!
なんとなんと全4話という超大作!
こんな素敵なお話を頂いたぜーー!
超自慢できるぜー!!!

ああ、本当にありがとうございます!

タイトルは「お見合い夜話」

そのまま続きから読んでくださいね~vvvv





「あっつ~……!」

事務所まで歩く道の途中。
ギラギラとした日差しから逃げるように、私は麦藁帽子をかぶり直した。

季節は夏真っ盛り。
私がこの芸能界に入って4回目の夏がやって来た。

「もうそんなになるのかぁ…」

白い雲の浮かぶ青空を見上げながら、何だか少し感慨深い気持ちになる。

思えば時間の経過と共に少しずつ、時には目まぐるしく、周囲は変化していたっけ。


『クオンよ!!!』


街中から若い女性達の歓声が上がる。
ふと声のした方を見ると、そこにはビルに設置された巨大なスクリーンから、敦賀さん……クオンさん主演のハリウッド映画の予告編が流れていた。
周りを見ると、道行く人達も老若男女問わず、興味深そうに足を止めて、スクリーンに魅入っている。

画面に目を戻すと、そこには艶やかな金髪と碧い瞳を持つ男性のアップが写し出されていて……。

それはもう、世間で知らぬ人はいない『クオン・ヒズリ』と言う俳優だ。

……と言うのも今春、敦賀さんがハリウッドへの進出を果たして間もなく、自らハリウッドスターであるクー・ヒズリの実の息子である事をメディアに公表したのだ。

それから暫くは、その話題で芸能界は騒然としていたっけ(まぁ、当たり前だと思うの!!)。

海外ではクオン・ヒズリとして。
国内では敦賀蓮として。
それぞれの場で活躍していく事を宣言してからは、敦賀さんの人気は更にうなぎ登りとなった。

そして…周囲がようやく落ち着いて来た今月、私は敦賀さんに呼び出されて…………「好きだ」……と言われた。

それなのに、私はと言うと意識が飛びそうになる位にパニックになって………情けなくも脱兎のこどく敦賀さんの前から逃げ出すと言う暴挙に出てしまった。
…………それはもう、ピュ~!と音がしそうな程に……………。

そして…その日を最後に、敦賀さんと会わないまま現在に至っている(汗)



『お見合い夜話』(1)



「………はぁ…」

敦賀さんへの、自らの失礼かつ挙動不審な行いを思い出して溜息が漏れた。
思い出す度に罪悪感で胸が痛む。
…あれからまともに敦賀さんと顔を合わせていないのも最悪だ………。
私が避けているせいもあるし、敦賀さんが人並み外れて多忙なせいもある。

そのせいで、敦賀さんと私の間には、もう埋めようのない溝が出来てしまったと思う。

……あんな失礼な態度を取って逃げ出した私を……敦賀さんは許してはくれないだろうと思うと涙腺が緩みそうになった。

「自業自得だもの………」

どんよりとした空気にのまれながら、それだけを呟いた。

私にとって敦賀さんはずっと大切な人で、それはこれからも変わらないけれど……。
人を好きになる事から逃げ続けていた私には、この気持ちが恋愛かどうか分からないのだ。

敦賀さんの告白は、私が今までずっと避けていた事を突き付けるもののようで……。
あんなに真摯な想いをぶつけられたのに…。
自信のない私は怯んで敦賀さんを傷つけてしまった………。

普段はあまり意識しないけれど、自分はラブミー部員だと言う事を思い知らされたような気がする。


◆◆◆◆

「到着……っと」

ようやく事務所に着き、警備員さんに挨拶をして中に入れて貰う。

蒸し暑い外からクーラーの効いた室内に入り、汗ばんでいた肌がひんやりと冷たくなっていく。

「生き返るわぁ」

心地よいままに、軽やかに廊下を歩く。
椹さんを探して辺りを見ていると、奥まった所に松島主任と二人で話している所を発見した。

二人とも、リラックスして煙草を吸いながら雑談しているように見える。

どうしようかしら?

休憩しているようだから、後にした方がいいわよね。

声をかけていいものか迷っていると、視線の先で松島主任が驚いたような大きな声を上げた。

「蓮の奴がお見合いぃ~?!」
「シッ!!声が大きい」

椹さんがそれを慌てて静める。
そして辺りをキョロキョロと見て、自分達以外に人がいない事を確認する動作を始めた。

私は咄嗟に壁に隠れる。

………………えーっと………。
オミアイ???
敦賀さんが?
お、お見合い?????

入ってくる単語の意味を必死に理解しようとするけれど、頭がうまく回らない。

「どういう事だ!?蓮がお見合いって……」
「いやぁ…何でも蓮の奴、最近失恋したみたいで…。それを知った社長とクーが、蓮の新しい恋を応援するぞ~!!とか何とか盛り上がったみたいでな………」
「あの蓮が失恋~~~!!!????………おまけに……社長達の餌食に……って蓮、可哀相」
「まぁ…蓮だから大丈夫だとは思うが。それにお見合い相手のお嬢さん、社長とクーが唯一蓮の相手にと認めた女性らしいから案外悪い話じゃないかも知れんな~」
「そうなのか?社長もあれで人を見る目はあるし、クーも愛妻家愛息家だし。こりゃ案外期待出来るかもな~」
「この話はトップシークレットだぞ」

椹さんが釘をさし、松島主任が「了解」と片手を上げた。

…………………。

敦賀さんがお見合い………。
失恋って………それは私が関係しているの…?

『お見合い相手のお嬢さん、社長とクーが唯一蓮の相手にと認めた女性らしいから案外悪い話じゃないかも知れんな~』

さっき椹さんが言った言葉を、嫌でも意識してしまう。

社長さんや先生が認めた女性がいるんだ……。

きっと、敦賀さんに相応しい優しくて美人な人なんだろうな。

それに比べて私は……告白されてろくに返事もせずに逃げ出して……比べるまでもなく酷い人間だわ。

敦賀さん…………相手のお嬢さんと会って……それからどうするんだろう?

そう思って、ツキンツキンと胸が痛くて息苦しくなるのはどうしてかしら?

「はぁ~~………」

目を閉じて深呼吸する。


「なぁ、ところで多忙な蓮のお見合いっていつなんだ?」
「それが今日の夜らしいんだ。宝田邸でクーも交えて。クーはこの為に、夕方の便で来日するらしい」
「多忙なクーも!?そりゃ凄いな」

先生も来る…………。
今夜のお見合いって、本当に凄い事なんだ………。

ぼんやりとしたまま、二人の会話を聞いていた。

「今夜………」


私はそれだけを呟いた。

どこか現実味のない感覚のまま、事務所での用事を済ませ、ドラマの収録で都内のスタジオに移動する。
その間も上の空だったのは気のせいじゃないと思うの。


◆◆◆◆

「はい、カット~!」

何とか気持ちを切り替えて仕事に集中する。

無事に撮影を終え、スタジオを後にする際、後ろから「キョーコちゃ~ん」と言う親しみの篭った声で名前を呼ばれた。

振り返るとそこには、カッチリとスーツを着ながらも涼しげな印象の社さんが立っていた。

「お久しぶりです」
「久しぶり!キョーコちゃん」

社さんは柔らかい笑顔で挨拶を返してくれた。
暫く会っていなかったのが嘘みたいに自然で。

社さんは………私が…敦賀さんにしてしまった仕打ち……敦賀さんから聞いてないのかな。

…………っ!!!!

とそこまで思い至って、私は弾かれたようにもの凄い勢いで辺りを見渡した。
だって……社さんがここにいると言う事は近くに敦賀さんもいるのでは…………!?

「蓮ならいないよ」
「…………へ」

すっかり私の頭の中等お見通し、と言うように、社さんが笑った。

「…………………」

敦賀さんは……いないんだ。

安心したのにがっかりもしている。
私は自らの無意識の期待を思い知らされて、顔がだんだん熱くなっていった。

「蓮さ、今日社長の家に呼ばれてるんだ」

何でもない事のように、社さんが話を始めた。

「大事な用があるみたいで」

そう言った社さんの言葉に、含みのようなものがある気がして胸がざわめく。

「………………」

敦賀さんが社長宅へ………。
それはお見合いの為………?
さっき立ち聞きした椹さん達の話が頭でリピートして、現実味を増して行く。

ちらりと視線を移した窓からは、紫がかったグラデーションの夕方の空が見えて、もうすぐ夏の夜が来る事を暗示していた。

「キョーコちゃん。蓮は本気だったよ」
「…………社さん?」
「俺、二人共好きだからさ。後悔だけはして欲しくないんだ」

お疲れ様。と優しい笑顔で社さんはそれだけを言って、私の前から離れて行った。


…………敦賀さんは本気だった?

それは、敦賀さんは私を本気で想ってくれてた……って事?

社さんはやっぱり…私達の間にある変化に気付いていたんだ。

敦賀さんは本気で……………。
だったら、私は…………?
私は……………。

そう思うと、もう足は自然と歩き始めていた。

スタジオの玄関まですぐに辿り着く。
日が落ちた夏の夕方は、涼しさと蒸し暑さが交じりあって、そのアンバランスさが胸をざわめかせた。

手を上げて、一台のタクシーを止める。

乗り込みながら、運転手さんに「行き先」を告げた。

流れて行く景色がどんどん夜へ移り変わっていく。

何をしようとしているんだろう?
だいそれた事をしているような怖さを感じながら、でももう引き返す気はなかった。

ただ……ただ、敦賀さんの顔を見たいと思っていた。


私を乗せたタクシーは、都内を滑るように宝田邸へと進んで行く。


◆つづく◆





この作品のご感想は是非是非製作者様ご本人へv
どなたなのかは第4話に明かします~vvvv
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