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優しい時間 31

2010/03/16 Tue 23:39


「よーし!今日は顔のゆがみをとってやるからな!」

「あのー・・・首から腰まで痛いんです・・・」

「あーもう、また身体のねじれてしまってる!」

「え・・・。Σ(゚Д゚;)」

「事故で相当やられてるなあ・・・」

「・・・はあ・・・」

今日、整骨院での会話です。
事故・・・やっぱり恐いですね!
何年もかけて身体を蝕んでくれてます!こんちくしょう!

皆様もお気をつけて!

全く関係なかったですが、続きに優しい時間です!

どうぞ!!






欲しいのはたった一人を守る力。



優しい時間 31



しんと静まり返った午前1時。
目の前にはビールの空き缶。
何本飲めば酔ってしまえるのだろう。
酔ってしまいたかった。
酔ってしまえば、もっと本音を言えるのだろうか。
キョーコが俺の気持ちを聞きたくないと言っても、どんなに怖いと震えても、そんなことどうでもいいって抱きしめて好きだって伝えて・・・。
兄としてではなく一人の男として、ずっと君のそばにいたいんだと・・・。

でも・・・恐かった。
キョーコに俺の気持ちを聞きたくないと否定されたとき、このまま無理強いをしてしまえばキョーコはすぐにでも俺のそばから消えてしまうと思った。
震えて俺の言葉に泣くキョーコを見たくなくて、つい言ってしまった。

「もう言わないから・・・か・・・」

そんなことできるはずがないのに。
俺の気持ちは自分でも抑えきれないほどに膨らんで、あふれ出してしまいそうなくらいにまでなってしまっている。
抱きしめるだけじゃもう足りない。
頬やおでこへのキスなんかじゃ全然足りない。
もっともっと、君を求める。
可愛らしい唇にキスをして、めちゃくちゃにしたい。
本当の意味で君を俺だけのものにしたい。

「とんでもない野獣だな・・・」

こぼれるのは己に対する嘲笑。
守りたいのも本当。
でも花を手折ってしまいたいのも本当。

・・・いっそ閉じ込めてしまおうか・・・。
誰の目にも触れさせないで、鎖をつけて。
この部屋で二人きり。
俺だけのものにできたらいいのに。

テーブルの上に置いた最後の1本。
プルタブを開けて一気に喉に流し込む。
食べ物がこんなにも味気ないと感じるなんて、まるであの頃のようだと・・・。
もう二度とあの頃のようには戻りたくないんだ・・・。






「蓮兄!朝ですよ!起きてください!!」
「ん・・・」
「んもう!こんなところで寝て!それに何ですかこのビールの数!」
ガサガサとビニール袋にゴミを入れる音がする。
一体・・・俺はいつの間に眠ったんだろうか・・・。

重い瞼を必死で開ければ、ブツブツと文句を言いながら片付けているキョーコがいた。

「・・・キョーコ・・・?」
「さっさと起きてシャワー浴びてきてください!敦賀蓮ともあろう者がお酒臭いまま仕事に行くつもりですか!?ほら、早く!」
不自然な程元気な声。
俺の腕をとって、引っ張ろうとしている。
「蓮兄重いんですからちゃんと自分で起きてください!蓮兄がシャワー浴びてる間に朝ごはん作っておきますから!」
君の細い腕じゃ大人の男をどうこうできるわけないのに。
触れた手が愛しくて、このまま離さないで欲しくて起き上がることもせずただキョーコをじっと見ていた。

・・・抱きしめたい・・・。
でも・・・。

「・・・起きるよ。ごめん、ちらかして・・・」
ソファで寝てしまって、少しだるい身体を起こし、ゆっくりと立ち上がる。
俺を見上げるキョーコの頭を、ぽんぽんと撫でて、俺は浴室に向かった。


俺のこの気持ちは、キョーコにとって迷惑なものなのだろうか・・・。
お湯をわざと冷たいシャワーに切り替えて頭から浴びる。
足下を見ると水がどんどん排水溝に流れていく。
・・・俺の気持ちも、この水と一緒に流してしまったほうがいいのだろうか・・・。
ずっと兄貴のままいて、この先いつかするだろうあの子の恋を応援して?
誰かを好きになってどんどん綺麗になっていくあの子を、俺はただ見守るだけ?

どん!

無意識に壁に拳を叩きつけていた。

「そんなこと冗談じゃない・・・!」

嫌だ。
そんなこと考えるだけで吐き気がする。
君がどんなに嫌がったって、俺がこの気持ちを捨ててしまうっていうことはそれはもう俺が俺ではなくなることと同じなんだ。

父さんと母さんに誓った。
社長にも社さんにも誓った。
そして、俺は君のご両親にも誓ったんだ。
必ず君を守ると。
でもね、本当は守るだけじゃ全然足りない。

勢いよく出るシャワーを止め、髪をかき上げる。
ぐっと毛根に刺激を加え、「よし」と己に気合を入れた。

リビングに戻ると、なぜかしんとしていて、ご飯を作っているはずの音すら聞こえなかった。
不思議に思ってソファのほうに足を勧めると、さっきまで俺が寝ていたソファのすぐそばにキョーコは座り込んでいた。
「キョーコ・・・?」
名前を呼ぶけど、キョーコは身動きをしない。
俺のほうにはキョーコの後姿しか見えないから、今どんな表情をしているのかわからない。
そっと近づくと、キョーコは俺がかけて眠っていた薄手の毛布を抱きしめて、視線の合わない目で、ただぼうっとしていた。
何も表情を写さない顔。
「キョーコ?」
すぐ近くで声を掛けるのに、それにすら気づかない。
俺は焦って、キョーコの両肩を掴み身体をゆすった。
「キョーコ!!」
「え・・・?蓮兄・・・?」
はっと気づいたように、今度はちゃんと視線を俺に移す。
わけがわからない、といった感じで呆然と俺を見ている。
「キョーコ?どうした?」
「・・・・何も・・・ないですけど・・・?それより蓮兄・・・シャワー・・・」
「浴びてきたよ。髪の毛濡れているだろう?」
「え・・・・あ・・・!ごめんなさい!私これから朝ごはん作りますから!」
慌てて立ち上がろうとしたキョーコの腕を取り、引き止める。
「そんなことしなくてもいいよ」
「でも・・・!」
「たしか、パンがあっただろう?それ食べて行くよ。だからキョーコはゆっくりしてていい。疲れてるんじゃないのか?」
「いえ・・・私は別に・・・」
「そう?昨日帰ってくるの遅かったし。勉強も・・・ほどほどにね」
「・・・はい・・・」

何もないはずはないじゃないか。
本当は君が俺のことをどう思っているのか、俺との暮らしをどう思っているのか。
ちゃんと知りたい。
もっと君の事を知りたい。
3年なんかじゃ全然足りないんだ。
これから先、どちらかが死ぬまで一緒に居たい。
話して欲しい、自分の中に閉じ込めるくらいなら。
君の言葉ならどんな言葉だって、どんな叫びだって受け止めるから。
解決できるように、俺も一緒に考えるから。
ただ、お願い。
俺を否定しないで欲しい。

パンをトースターで焼きながら、思うのはそんなことばかりだった。



***



「最上さん、ちょっといい?」
「え・・・?」

週が明けた月曜日。
登校して教室に入るなりクラスメイトの女の子に声を掛けられた。

「えっと、何?」
「いいからちょっと来てほしいの。SHRまでまだ少しあるし、おねがい」
「・・・?わかった」
かばんを自分の席に置いて、その女の子と一緒に教室を出た。
その子の後を着いていく途中、廊下でモー子さんにすれ違ったから、「おはよう」と挨拶をする。
「おはよう。どこ行くの?」
「わかんないけどちょっと行ってくる」
モー子さんにそう残し、連れて行かれるまま歩いた。

着いたのは図書室。
さすがにSHR前の朝の時間、この部屋には誰もいなかった。
「あの・・・何・・・?」
さっきは一人だったはずの女の子が、なぜか3人に増えていた。
この状況で考えられるのはひとつ。
ドラマなんかでよくある、所謂いじめ的なものだろうか・・・。

「ねえ、最上さん」
「・・・はい・・・?」
「あなた・・・」
「・・・」
「敦賀蓮と本当の兄妹じゃないって、本当?」
「・・・え・・・・・?」

どう・・・して・・・?

「あたしさあ、聞いちゃったんだ。あんた両親死んでるんだって?」
「・・・っ」
「敦賀蓮とは親戚でもなんでもない赤の他人なんだってね」
「・・・な・・・」

身体が震える。
何で!?どうしてそんなことをこの人が知っているの!?

「なんであたしが知ってるんだろうって顔してるわね」
「!!」

汗が・・・流れる・・・
喉が・・・渇く・・・

蓮兄・・・どうしよう・・・
蓮兄・・・!

「あたしの友達、あんたと一緒に暮らしてたあんたの親戚だもの」
「え・・・」

あの・・・家の・・・子・・・。

「ねえ、マジでそれ本当なの?」
「本当ならずるくない?あの敦賀蓮と他人のこの子が暮らしてるってことでしょ」
「それって立派な同棲じゃね?」
「友達が、父親が酔っ払ったときにお小遣いねだってもらったら、次の日この子が財布から盗ったって怒られて、その後いつのまにか違うところに引き取られてたって言ってし。その引き取られた先が敦賀蓮のところってことはさすがに知らなかったみたいだけどね」
「じゃあ、その子も蓮の親戚ってことじゃなくて?」
「だから、親戚なんかじゃないんだって。」

恐い・・・恐いよ・・・蓮兄・・・。

「ねえ、あんた蓮の家から出てくれない?あんたの存在、蓮にとって迷惑にしかならないよ」
「・・・!」

「親戚でも何でもないのに、蓮と一緒に住むなんてありえないよ!それとも恋人だなんてことないよね」
「やだ、あんた。そんなことあるわけないじゃない。蓮がそんな趣味が悪いわけないでしょ」
「そうだよね!ぎゃはははは」

胸に、突き刺さる。
彼女たちに言われていることは、自分自身でも思っていたことだから。
それを第三者から言われると、ああやっぱりそうなんだと・・・私は・・・

「あんたたち、勝手なこと言わないでくれる?」

え・・・。

その声は、私が大好きな親友のもの。

「モー子・・・さん・・・」

「琴南さん、何?」
「何って、さっきあんたたちがキョーコに言っていたことよ」
「ああ、蓮にとってこの子が迷惑ってこと?っていうか、琴南さんは最上さんが敦賀蓮と暮らしてたこと、前から知っていたんでしょ?自分だけこの子の親友ぶって敦賀蓮に会ってたんだ?それってずるくない?」
「そんなことはどうでもいいのよ!大体、この子と敦賀蓮のことなにも知らないくせに、勝手なこと言わないでほしいわね」

モー子さんが私の前に立って、彼女たちから隠してくれた。

だめだよ、モー子さんにまで迷惑かけてしまう。
私、どうしてこうなんだろう。
どうして誰かに迷惑しかかけられないんだろう。

大切な人にたくさん嫌な思いさせてしまう。
ごめん・・・ごめんなさい・・・。

「でも最上さんが敦賀蓮にとって邪魔な存在であるのは確かじゃない!」
「そうよ!はやく出て行きなさいよね!」

バタバタと言い捨てるように彼女たちは図書室から出て行った。

「ったく、誰が迷惑だって言ったのよ。あのシスコン兄貴が・・・って・・・キョーコ?」
「・・・よう・・・」
「え?どうしたの?キョーコ?」
「どうしよう・・・」
「・・・キョーコ・・・?」

「ねえ、どうしよう・・・モー子さん!!」
「キョーコ!?」

どうしよう!蓮兄に迷惑かけてしまう!
あの人たちだけじゃなく、他の人が知ってしまったら!?
蓮兄だけじゃない。パパもママも、社さんも社長さんも、皆に迷惑かけてしまう!

そんなの嫌だ!
こんなこと、充分ありえることだってわかっていたのに!


「私・・・とんでもない疫病神だ・・・」
















「社長!大変です!蓮とキョーコちゃんのことがインターネットに!」




暗闇がどんどん近づいてくる。




つづく






世の中便利になりましたが、恐いことも多くなりましたね!
ネット社会、マナーを守って楽しみましょう!
優しい時間 | コメント(3) | トラックバック(0)
コメント
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No title
蓮はそんなに苦しい,かわいそうだ~~~

キョーコちゃん大丈夫か?ぼろぼろみたいです。

蓮さま、お願い~~ちゃんとキョーコちゃんを守る。
Re: No title
HOKUTO様♪

そんな優しい時間です(爆)
優しくないですけどね!

すみません><ちゃんとHappy endにはしますので~(`・ω・´)

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