スポンサーサイト

--/--/-- -- --:--

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
スポンサー広告

白の季節

2010/02/07 Sun 01:43

きゃー!書き足してたら日付こえちゃったね★

寝なきゃ!寝なきゃ!

寒い寒い!


さて、ここで問題です。

私はこのSSを2月5日にUPしたかったのですが、なぜでしょう?

答えは、SSの最後にv

では、短編「白の季節」です。



「さーむーいー!」
一面の雪景色。
30cmは積もっている雪の中、満面の笑顔でバスから出た彼女は。
思いっきり雪の中にダイブした。



白の季節



「だ、大丈夫ですか!?京子さん!」
彼女を見てびっくりしたスタッフが慌てて駆け寄る。
だが、スタッフの中でも小柄なほうである彼は、雪に足をとられ自らも転びそうになっていた。

「大丈夫です!」
むくりと顔を上げて彼女・・・最上キョーコは笑った。

彼女のすぐそばに行き、「濡れるよ?」とさりげなく腕を伸ばすと、ピンクの手袋をはめた手を「ありがとうございます」と差し出してくれる。
彼女を起き上がらせ、身体についた雪をぽんぽんとはらってやる。
「すみません、大丈夫です。別に転んだわけじゃなかったんです」
ちょっと申し訳なさそうにそう謝ってきた。
「だろうね・・・。さっきのはしゃぎようだったもんね」
「へへ。でも、大成功ですよ!見てください!!!」
自分がダイブした痕跡をキラキラした笑顔で指差す。
そこにはくっきりと彼女の跡。

「私、真っ白で足跡のついていない雪の中にダイブするの、夢だったんですよ!それが叶ったので大満足です!」
「へえ・・・京都は雪深い街だって聞いていたけど・・・今までしたことなかったの?」
「・・・そうですね・・・。そういえば・・・したことなかったなあ・・・」

とたんに、暗くなった彼女の雰囲気に、しまったと思った。
「最上さ・・・」
「はい、みなさーーん!身体冷えちゃいますんで、まずは旅館のほうに入ってくださいねー!」
彼女に声を掛けようとしたらスタッフの声にかき消された。
「さ、敦賀さん!行きましょう!楽しみましょうね!」
「あ・・・ああ。そうだね・・・」
あっという間にもとの笑顔に戻った彼女に、つられるように俺も旅館の中に入った。

今日はドラマがクランクアップして、そしてそのドラマが高視聴率だったということでのお祝いで一泊旅行が設けられた。
普段は打ち上げには一次会だけ出席するのだが、旅行に関しては出席したことはなかった。
でも、共演者である彼女も出席すると聞いて、社さんになんとかスケジュールを調整してもらった。
ギリギリまで仕事が詰まっていたけど、なんとか集合時間にも間に合って、彼女と合流することができた。
共演者の女の子と一緒に話しながら旅館に入っていく彼女。
旅行なんてすっごく嬉しいです!そう話していた彼女を思い出す。

「キョーコちゃん、楽しそうだね」
「そうですね」
「本当は2人で旅行に行きたいんだろう」
「・・・・・・・・・・」
「正直になったね。蓮くん」
「さっさと行きますよ。社さん」
「お、おい!俺も行くよ!」

旅館の女将さんや仲居さんたちの出迎えの後、部屋に案内された。
部屋は木と畳の香りがして、とても安心できる雰囲気。
外は真っ白の雪景色で、こんな綺麗で静かな場所でのんびりできるなんて・・・本当に久しぶりだ。
「蓮、ここ温泉もすっごくいいらしいよ」
「へえ、そうなんですか」
「露天はきれいだろうね。雪の中入る温泉なんて最高だよなー。あ、家族風呂もあるって!蓮、キョーコちゃんとどう?」
「・・・何言ってるんですか、社さん」

俺と最上さん――キョーコは付き合いだして3ヶ月。
もちろんこうやって旅行をするなんてことはまだしたことなくて。
いつか2人でのんびり旅行をしたいとは思っているけど・・・。

「あ、蓮。キョーコちゃん!」
「え?」
社さんが窓の外を覗きながら俺に手招きする。
二階の窓から下を見れば、薄いピンクのダウンジャケットを着たキョーコが立っていた。
真っ白の中ぽつんと立っている様は、綺麗だけどなんだか寂しくて。

「おーい!キョーコちゃーん!」
社さんが手を振りながら名前を呼ぶと、彼女は振り返ってにこっと笑って手を振り返してくれる。
「社さん、俺行って来ます」
「うん。宴会の時間には戻って来るんだよ」
「はい」
黒のダウンジャケットを着て、彼女のもとに向かった。

外に出ればもう彼女の姿はそこにはなくて、まっさらな雪の中、小さな足跡が遠くのほうに続いていた。
その足跡を追って歩けば、やがて見えたピンクのダウン。
「キョーコ!」
俺の声に振り向いた彼女は立ち止まって、またこっちに引き返してくる。
キョーコに追いついて手を握れば、きゅっと握り返してくれた。

「外に出たらいないからびっくりしたよ」
「すみません。足跡つけるのが楽しくって夢中で歩いちゃいました」
へへっと笑う彼女がかわいくて抱きしめたい衝動にかられる。
でも、今は夕方で薄暗くなったとはいえ、まだ陽があって誰がどんな風に見ているかわからないし、ましてや仕事関係の旅行だからなおさら警戒しないといけない。
「雪がすごくきれいだね」
「はい!キラキラしてて綺麗ですよね!もうちょっと奥に行けば、きっと雪の妖精にも出逢えますよ!」
キラキラしているのは君のほうだ・・・なんて思いながら、もうメルヘンの世界に飛び込んでいる彼女の手をしっかり握る。
「これ以上は奥に行ったらダメだよ。雪で覆われていて、一見地面があるように見えてもそうじゃないかもしれないからね」
「えー・・・そうですか?大丈夫だと思うんですけど」
「ダメ。土地勘がないんだから安易に考えちゃダメだよ」
「・・・はーい」
「さ、もう戻ろう」
「・・・はい・・・」
落胆の表情をありありと見せるキョーコに俺は話題を変えるべく、社さんの言葉を思い出す。
「ここの温泉、すごくいいらしいよ。社さんが言ってた。美肌効果もあるって」
「へえ!そうなんですか!」
「宴会まであと1時間。温泉にでもつかってきたら?」
「そうですね!そうします!!」
「じゃあ、戻ろうか」
「はい!」
旅館が見える場所まで手をつないで行き、それが見えてから手を離す。
本当はずっと繋いでいたいけれど。

「あー!敦賀さんだー!」
旅館に入ろうとした時に名前を呼ばれた。
共演者の女の子たちがわらわらと集まってきた。
「どこか行ってたんですか?」
「もしかして京子ちゃんとデートとか?」
「いや、散歩してたら偶然会ってね。薄暗くなってきたから一緒に戻ってきたんだ」
「えー。そうなんですかー?」
「うん」
黄色い声を少し疎ましく思いながら適当に話を合わせる。

「じゃあ、敦賀さん。私はこれで」
「あ・・・うん。また宴会でね」
「はい」
キョーコは後輩の顔をして旅館の中に入って行った。
もうちょっと寂しい顔をしてくれてもいいのに・・・なんてわがままを思ってしまう。
こんなときに思うのは、キョーコよりも俺のほうが好きの重さが大きいって事。
先に好きになったのは俺のほうだから、仕方が無いといえば仕方が無いことだけれど。
「さ、もう暗いし皆中に入ろう。風邪引いたら皆困るからね」
「「「はーい!」」」

部屋に戻ると社さんは温泉に行っているみたいで、誰もいなかった。
一人になると、溢れるのはあの子への想い。
あの子はすぐに一人でどこかに行ってしまう。
さっきだって、玄関先で待っていてくれると思ったのに、それはあっさりと覆された。
残っていたのは足跡だけ。
きっと彼女は俺が来るとは思わなかったんだろう。
俺がどれだけ君と一緒にいたいって思っているか、本当にわかっていない。

「お!蓮。早かったね。温泉すっごくよかったよ。蓮も行ってくれば?」
「そうですね。でも、後にしますよ。宴会後にでもゆっくりと入ります」
「そうか?じゃあ、宴会で飲みすぎるなよ」
「わかっていますよ」
宴会の時間になり、俺は社さんと共に宴会会場に向かった。




・・・失念していた。
温泉に入る=浴衣を着るということ。
宴会場に集まったほとんどの人間が浴衣を着ていた。
もちろん、それはキョーコも例外ではなく。
湯上がりのキョーコはいつもの可愛らしさだけでなく、そこはかとなく色気さえ漂っていて。
唯一の救いがキョーコの両隣が女性スタッフであること。
もしも片一方でも男だったら無理矢理にもそこに入るところだ。

乾杯を監督の音頭で行ったあと、場はわいわいと盛り上がりを見せる。
「敦賀さーん」
ビールの瓶を持った女性たちが周りに集まってきた。
グラスにビールを注いでくる女性にありがとうと表面上の笑顔を貼り付けて相手をする。
でも、彼女達の相手をしていても、俺の意識は常にキョーコを向いていた。
肝心のキョーコはというと、監督やディレクターへにこにことお酌をしている。
この世界は言わば縦社会でもあり、そういう気配りは大切だ。
周りを大事にする彼女だから、ほら仲居さんの手伝いのようなこともしようとする。
・・・君は一体ここに何をしに来たんだ・・・。ああ・・・ほら、仲居さんたちも止めようとしている。
そんなことしないで、俺のところに来てくれないか。
俺からキョーコのところに行きたいけれど、先輩から後輩のところに行くというのもなんだかおかしなことだから、なかなかうまくいかない。

「敦賀さんとこういうふうにお酒飲んだりできるなんてすっごく嬉しいですぅ」
「・・・そう?」
「そうですよぅ。友達に自慢しちゃいます。あとで一緒に写真撮ってもらえませんか?ブログに乗せたいんですけど~」
キョーコに意識が向いている俺には、やはり彼女達の言葉は欝陶しいものでしかなくて。
とりあえず笑顔で交わすけれど、それがいけないのか、どうにも彼女たちはべったりとくっついて離れてくれない。
肝心の社さんは、他のスタッフに捕まっていてどうにも行かない様子。
・・・本当にどうしたものか。
「ごめんね、監督に挨拶してくるから」
そう理由をつけて、俺もその場から離れて監督のもとに行く。
そのときにはキョーコは共演した女優さんのところでお酌をしていた。

物事に、特に人間に執着しない自分が、こうも誰かに固執するなんて本当にびっくりだ。
それだけ彼女は特別で大切で。
だから特別な相手には自分も特別であってほしいと思う。
だけど君は公の場で、せめて先輩と後輩という肩書きの上でもそばに来てくれない。
きっと恋人になる前だったら、君はちゃんと来てくれていただろうに。
「敦賀さん!お疲れ様でした!」なんて言いながら。

騒がしい会場の中で、目と感覚でキョーコを追う。
今誰と話しているとか、どんな顔をしてるとか。
ああ・・・そんな笑顔を俺以外の男に見せないで。
今君の隣で笑っているのが俺であればいいのに・・・。
君を想うと、今まで知らなかった感情がどんどん溢れてくる。
苦しくて切なくて、なんだか泣いてしまいたくなるような、そんな感情。

そばにいて。
抱きしめさせて。
ちゃんと俺を好きだって、俺を安心させて・・・


ふと気づくと、キョーコが静かに部屋を抜け出ようとしていた。
俺はというと、監督や共演した俳優に捕まってしまい、すぐにはその場から抜け出すことができない状況に陥っていた。
トイレにでもいったのだろうかと思って、戻ってくるのを待っていたが、キョーコは5分しても10分しても帰ってくる様子がなくて。

もしかして、気分でも悪いんだろうか?
もしもそうなら、一人にしておくわけにはいかない。
話の区切りをなんとか見つけて、話を別の俳優に振る。
そしてその隙に、ちょっとすみません・・・とトイレに行くフリをして宴会場を抜け出した。


宴会場の外の廊下は静まり返っていて、人の気配が感じられなかった。
通るのは仲居さんだけ。
「あの、京子さん見ませんでした?」
そう仲居さんに聞くと、「京子様でしたら先程外に出られましたよ。寒いので早く戻られるようにはお伝えしましたが」と言われた。
こんな夜に、一人で?
何を考えてるんだ!君は!!!

俺は慌てて外に出た。
外は痛いくらいに冷えていて、少々のライトアップはされていたが、女の子一人で歩くなんて危険以外のなんでもない。
外には夕方と同じようにキョーコの姿はなく、小さな足跡だけ。
それはライトが届いていない場所へと続いていて、その先のどこにもキョーコの姿は見えなかった。

怖い。
・・・そう思った。
キョーコが居なくなってしまうんじゃないかって・・・俺から離れてしまうんじゃないかって・・・。
それが怖くてたまらなかった。

小さな足跡を追う速度がだんだんと速くなる。
雪で歩きにくいことなんかぜんぜんかまわなかった。
ただ、キョーコが無事なことをはやく確認したくて、前に前に、早く早く、それだけを考えていた。

少し歩くと、突然「ああ!もう!!!」と声が聞こえた。
それは間違いなくキョーコの声。
ざくざくと足音を立てながら声のした方に進むと、小さな足跡が突然消えていた。
そして、その先にあるのは小さなくぼみ。
昼間に見たものと同じ、キョーコの形をしたくぼみだった。

「何をしているんだ!君は!!」
「え?敦賀さん!?」
見つけた安堵から、つい大声を出してしまった俺に、びっくりしてキョーコがくぼみから顔を出した。
「どれだけ心配したかわかってる?突然宴会場出て行くし、こんな夜に外に出ていなくなるし!」
「え・・・えと・・・」
「また雪の中にダイブしたくなったなんて言ったら、本気で怒るよ」
「・・・・・・・・・・」
「・・・もう怒ってるじゃない・・・とか思ってる?」
「そ・・・」
「思ってるんだ」
「・・・えと・・・はい。すみません・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・、・・・・・・・・はあ・・・・」
「あ・・・あの、敦賀さん・・・?」

「そのまま座っていると濡れるよ」
昼間と同じように、彼女の雪の人型の中から彼女を立たせ、からだについた雪を手で払ってやる。
浴衣のまま出て行ったのかと思っていたけど、きちんと防寒の格好をしていることにひとまず安堵する。
「ありがとうございます・・・」
そういう彼女にため息ひとつ。
そして、俺は小さな身体を抱きしめた。
「つ・・・敦賀さ・・・」
「頼むから、こんな危ないこと二度としないでほしい」
「・・・」
「本気で心配したんだ。君がいなくなったらって」
「・・・ごめんなさい・・・」
しゅんと小さくなりながら、俺の背中に腕を回してくる。
きゅっと俺の服をにぎりしめてくれたとき、俺はキョーコをもっと強く抱きしめた。


「・・・頭を冷やそうと思ったんです・・・」
俺の腕の中で、キョーコがポツリと言った。
「どうして、そんなこと?」
「・・・私は人間できてないなあって・・・汚いなあって思ったんです・・・」
「・・・キョーコ?」
「だから、ここで頭を冷やそうって思ったんです」
「それで、ひとりで雪に埋まってたの?」
「はい」
「・・・・・・・」
キョーコがなぜそんなことを思ったのか良くわからない。
だって、君が汚いなんて・・・。
俺が知っている人間の中で誰よりも純粋で、まっすぐで。
君を汚いなんて言ったら、俺はどれだけ汚いのか・・・。

「話してくれない?」
「・・・え・・・でも・・・」
「きっと話したら軽くなるよ?」
「・・・えと・・・」
「ん?」
「嫌いに・・・なりませんか?」
「ならないよ」
「じゃあ、呆れませんか?」
「そんなことしない」
俺の胸に顔を埋めたまま、小さな声で話すキョーコ。
あたりは静かで、小さな小さな声さえ耳に響く。

「・・・他の女の人に触れられてる敦賀さん、見たくなかったんです・・・」






「え?」




「・・・っ・・・だって敦賀さん・・・」

「・・・うん?」

「敦賀さん・・・私のこ・・・こ・・・」
「恋人?」
「は・・・はい・・・こい・・・びと・・・なのにって・・・」
「恋人だから?何?」

キョーコが言わんとしていることは、なんとなくだけどわかっている。
でも、キョーコの口からちゃんと聞きたくて、俺は彼女の身体をぐっと抱きしめながら言葉の先を促す。
君の言葉でちゃんと言って?
今、完全に期待してしまっている俺の気持ちを、どうか裏切らないで?

「私以外の女の人に触らせないでくださいっ」

ぎゅうっと俺にしがみついて、今までよりも少しだけ大きな声で彼女は言った。
俺は彼女がやきもちを焼いてくれたこと、自分をちゃんと恋人だって思ってくれていることが嬉しくて、自然と頬が緩んでいくのがわかる。

「だ・・・だから・・・いくら恋人っていっても、敦賀さんをまるで自分のもののように思ってしまった自分が恥ずかしくて、こんな嫉妬ばっかりしてたら、敦賀さんにあきれられるなーって思って・・・」
「それで・・・頭を冷やそうって?」
「はい・・・」
「・・・・・、・・・はーーー」
「や、やっぱりあきれました?すみません!もうそんなあつかましいこと金輪際思いませんので!!!」
顔をばっと上げて俺と視線を合わせる。
それはもう必死な顔。

・・・もう、凶悪。
凶悪なほどかわいい。
「ああ!そういえば敦賀さん、すごい薄着じゃないですか!ジャケットも着ずに!!私はもう少し頭を冷やしてから行きますから早く旅館に戻ってください!!」
確かに君を追いかけて上着を着ずに飛び出して来たから、物理的には寒いんだろうけど、生憎今の俺は、そんな寒さを微塵も感じてはいなくて。
だって、あれはどう考えても殺し文句だろう?
ここが暗い場所でよかった。
そうじゃなかったら、きっと赤くなった俺を見られてしまう。
汗すらかいてしまってるんじゃないかってくらい、熱くてたまらない。

嬉しくて、嬉しくて、嬉しくて。
どうしてこんなにも夢中にさせてくれるのだろうか。この子は。

どうかもっと俺に溺れて。
俺以外考えられなくなるくらい、俺に溺れて?

「キョーコが自分の気持ち言ってくれたから、俺も言うね」
「え?」
大きな目でキョトンと見上げる、これまた凶悪なほど可愛らしいしぐさを、それも無意識に披露してくれる。
どうにももう我慢できなくて、とりあえずおでこにキスを落とす。
「つるがさ・・・!」
キスはいつだって彼女を真っ赤にさせる。
何度もしているキスのはずなのに、ましてやおでこにすらこの反応。
いっぱいどきどきしてくれている証拠。

好きだ。
すごくすごく、君のことが好きでたまらない。

「君ともっと一緒にいたい。君の隣に居るのはいつだって俺でありたい」

人の感情はキレイなものなんかじゃなくて、むしろドロドロとした汚いものばかり。
俺はそんな感情の中で、君を愛して。

「俺は君が考えている以上に嫉妬深い男だよ。君を俺以外の誰にも触らせたくない、いつだってそう思ってる。それくらい、君が好きなんだ」

「・・・敦賀さん・・・」

「あきれる?」
「・・・っ」
キョーコは顔を横に振って答えてくれる。
「嫌いになった?」
「そんなこと!ありません!!」
強く見つめる目に、うっすらと涙を溜めて。
これは嬉しいときの涙だ・・・そう、感じた。

「俺も一緒だよ。というより、キョーコがそんな風に思ってくれて嬉しかった。ありがとう」
「・・・っ・・・よかった・・・。私も・・・嬉しいです・・・敦賀さん・・・」

その嬉しそうな顔にさらに我慢できなくなって、今度は唇に口付けた。

「ん・・・」
触れるだけのものから、だんだん深いものへ。
お互い吐く息が真っ白に変わるほど寒いのに、キョーコの唇はとても熱く感じた。



「ねえ、キョーコ」
「はい?」
手をつなぎながら旅館までの暗い道を戻る。
「せっかくだから、雪だるまでも作る?」
「え?」
「去年、今度雪が積もったら雪だるま一緒につくろうって約束しただろ?」
「・・・覚えてたんですか?」
「もちろん。あの時はすでに君に片思いしてたからね。君との約束はなんだって覚えてるよ」
「じゃ、じゃあまず敦賀さんのジャケット取りに行きましょう!私玄関で待ってますから!」
「だめ。さっき言ったでしょ。いつだって一緒に居たいって」
「でも、誰かに見つかったら・・・」
「そのときはそのときに考えよう」

キョーコの手を引っ張って、物陰から誰かいないか確かめながら俺と社さんが泊まる部屋に戻る。
なんだかいけないことしてるみたいでドキドキしますねって楽しそうに君が言うから、もういっそこの部屋で君をめちゃくちゃにしてやりたい衝動に駆られる。
それはダメだ、いつ社さんが戻ってくるかわからない、と自分の理性で欲望を押さえ込む。
ダウンジャケットと手袋、ニットの帽子、マフラー。
全てを装着して、来た道をもう一度戻り外に出た。

「大きな雪だるま作りましょう!」
キョーコと初めて作る雪だるまは、どんどん大きくなって。
胴体部分に頭を乗せるときは、一緒に頭の丸玉を抱えて乗せた。
完成した雪だるまは、キョーコらしくかわいい顔をした雪だるまだった。

「これで約束を果たせましたね!」
「うん。そうだね」
「来年、また作りましょうね」
「また、作ってくれる?」
「もちろんですよ!」

それは来年も一緒に居てくれるという約束。
絶対に約束を守るから。
来年の雪の季節、今年よりももっともっといい季節にしよう。

「さ、身体冷えたし中に入ろう。一緒に温泉でもどうですか?」
「・・・え?」
「家族風呂もあるらしいよ?」
「え・・・・えええええええええええええええええええ!!!」
うん。期待通りの反応だ。
「今日はやめておくよ」
「あ・・・あの・・・」
「ん?入る?」
「いっいええええ!!そうじゃなくて・・・!」
「ん?」

「約束・・・覚えててくださって・・・嬉しかったです・・・」

寒さで真っ赤になった鼻とほっぺたの君が、やっぱり凶悪に可愛くて、俺はちゅっと音を立てて赤い唇にキスをした。

「そのうち、二人きりで旅行に行こうね」
「はい!」
「そのときは一緒に温泉に入ろうね?」
「え・・・?あ・・・は・・・はい・・・・」
「言質とったよ?約束ね?」
「・・・はい・・・」

ひとつひとつ約束をしていこう。
ひとつひとつ約束を果たそう。
そして俺たちは二人で未来を歩んでいこう。




翌日、大きな雪だるまを見た撮影陣は、記念にと各々に写真を撮っていた。
社さんがこっそりと「夕べ二人で楽しそうに作ってたね」と言っていた。
いつの間に見ていたのだろうか。本当に侮れない。
「蓮、キョーコちゃん。先輩と後輩で写真とってあげるよ」
手袋をはめた社さんが、デジカメで俺とキョーコと雪だるまを写してくれた。


俺たちはお互いの気持ちと共に、新しい思い出を手に入れた。




おわり




A.2009年2月5日に、このSSのモトとなるSSを書いたから。
つまりは、二人が「一年前に約束」をしたSSですね。

もしもよろしければ、SS『雪の日』もあわせてどうぞv

まだまだ寒いです!
あったかくしてお休みくださいませねvv



短編 | コメント(0) | トラックバック(0)
コメント

管理者のみに表示

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。