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優しい時間 20

2009/10/29 Thu 19:15

・・・へたれなコマドです。こんばんわ。


今日は二度目の更新ですね!
えっと・・・随分と間があいてしまった優しい時間。
いいかげん書けや!ゴルア!!(゚Д゚#)
と自分を叱咤しまして、書き上げました。

お時間の許せる方は、下記よりどうぞー★


おはよう。
おやすみ。
いってきます。
ただいま。

こんなに意味があるものだなんて、知らなかった。



優しい時間 20



『今日は20時には帰って来れそうです』

「お、蓮。キョーコちゃんへの帰るよ~お知らせメール?」
「・・・なんですか。その変な名前・・・」
「いや~。お前たちって兄妹っていうより、まるで新婚みたいだよな」
「・・・・・・・・」
社さんが、うんうんと頷いている間に、俺はメールの送信ボタンを押した。



キョーコと暮らしはじめたあの日、夕方からの仕事は案の定というか、深夜にまで入りこんだ。
帰宅したのは午前3時。
もう寝ているだろうと、静かに家のドアを開けると、家の中の電気はついたままだった。
「キョーコ・・・?」
こんな時間まで起きていたのかと、リビングに入るが、キョーコの姿は見当たらなかった。
「・・・こんなところで寝て・・・」
キョーコがいたのはリビングのソファの上。
小さく丸まって眠っていた。

小さな身体を一生懸命護るように抱きしめて眠っている。
事務所の前で眠っていたときと同じように。

「風邪引くのに・・・」
パジャマで眠っているところをみると、お風呂には入ったようだけど・・・。
それでも、こうして家にキョーコがいる。
頬を触ればあたたかくて、写真ではない確かなキョーコがここにいる。

「ん・・・」
キョーコがうっすらと目を開けた。
「ごめん。起こしたね」
そう声を掛けると、キョーコは顔を俺のほうに向けた。
「れん・・・にい・・・?」
寝ぼけ声のキョーコは、凶悪なくらいかわいくて、俺はもう一度キョーコの頬に触れた。
「ただいま。キョーコ。こんなところで寝たら風邪引くよ?」
「ん・・・・ごめんなさ・・・」
「待っててくれたの?」
「・・・・れんにいに・・・おかえりなさ・・・て・・・」
目をごしごししながら一生懸命声を出す。

俺におかえりを言うためにこんな時間まで?
遅くなるって言ってあったのに・・・。
「ありがとう。キョーコ」
「え・・・?」
やっと目が覚めたのか、きょとんと俺を見上げてくる。
「待っててくれてありがとう。でも、遅くなることもあるし、先に寝ていいからね?」
「・・・・・・・・・・・」
「?キョーコ・・・?」
「いえ・・・。はい。わかりました・・・」

キョーコは・・・なぜか泣きそうに笑った。
そんな顔をさせたいわけじゃないのに。

自分の部屋に戻ろうとするキョーコは、脚を止めて振り返った。

「蓮兄。おかえりなさい」
「うん・・・ただいま・・・」
「おやすみなさい」
「うん・・・おやすみ・・・」

パタンと閉まるドア。
家の中に静寂が訪れる。
それでも、キョーコの気配は消えなくて。
ここにキョーコがいると確信させてくれる。
正直、仕事をしている間も怖くて仕方がなかった。
家に帰ったらキョーコはいないんじゃないかって。
キョーコと再会したことも実は夢だったんじゃないかって。

「・・・しっかり・・・しろよ・・・」

これは夢じゃない。現実だ。
あの子を幸せにするって決めたんだ。
この6年間、そばにいてあげられなかったから。
これから先ずっとそばにいるんだから。


次の日、目が覚めるとおいしそうな匂いがしていて、リビングに行くとキョーコが朝ごはんを作っていてくれた。
「おはようございます。蓮兄」
「おはよう、キョーコ。朝ごはん作ってくれたんだね。ありがとう」
「いえ・・・私・・・こんなことしかできないから・・・」
「こんなことって・・・嬉しいよ。でも、無理はしないでいいんだよ?」
「無理なんてしてません。よかったらご飯は私に作らせてください。家事は好きなんです」
「俺は大歓迎だけど・・・本当に無理はしないでいいからね?」
「はい」

違和感。

それはキョーコの言葉遣い。
昔はそんな風に話さなかった。
敬語なんて俺にも俺の両親にも使わなかった。
それなのに、再会してからキョーコは俺にも両親にも敬語で話す。
近くに居るのに、はっきりと線を引かれている感覚。
もっと砕けて欲しいのに。
ここが君にとって安らげる場であって欲しいんだ。
笑って泣いて怒って。
外で出せないものをたくさん出して欲しいのに。

「おいしいよ。キョーコ」
「ありがとうございます」

顔の筋肉だけで笑う彼女に、悲しくて仕方がなかった。




「キョーコ。こんな時期に転校なんて悪いと思うけど・・・」
「いえ。大丈夫です」
「今日、社さんが手続きについて行ってくれるから」
「はい・・・すみません。社さんは蓮兄のマネージャーさんなのに・・・迷惑かけて・・・」
「迷惑なんて思ってないから。今日はずっとドラマの撮影だし、社さんがいなくても大丈夫だから」
「・・・はい・・・」
「・・・じゃあ、行ってくるね・・・」
「・・・はい。いってらっしゃい・・・」

ああ、もう・・・そんな顔をしないで?
寂しそうに笑わないで?
仕事に行きたくなくなるじゃないか・・・。

「今日も遅くなるかもしれないから・・・先に寝ててね」
「・・・・はい・・・」

「じゃあ、行ってきます」

静かな朝の別れ。
こんなにも息苦しさが募っていく。
パタンと閉まる音が、やけに大きく聞こえた。


「キョーコちゃんってすごいねえ。前の学校でも成績はトップだったらしいよ」
転校の手続きを終えて、仕事に合流した社さんが教えてくれた。
「へえ。すごいですね」
「そうだろ?だから俺もキョーコちゃんに言ったんだよ。すごいねって。でもさ・・・」
「でも?」
「なんだかあんまり嬉しくなさそうだったんだよなあ・・・」
「・・・・」
小さいころは俺に聞いてくることが多かった勉強。
俺がいなくなって、きっと一人で一生懸命頑張ってきたんだろう。
「社さん・・・。今日、何時くらいにあがれそうですかね」
「うーん・・・予定では12時までには終わるらしいんだけどね」
「そう・・・ですか・・・」

結局仕事が終わったのは午前0時半。
急いで車を走らせ、家に向かった。

本当はもっと早く帰りたいのに、そうできない自分が悔しかった。

「1時・・・・もう寝てるよな・・・?」
鍵を開けて静かにドアを開けると、薄暗い玄関の中、うずくまる小さな物体。
「え・・・キョーコ・・・?」
「あ・・・蓮兄・・・お帰りなさい」
俺の声にはっとしたように顔を上げたキョーコは、俺を見た瞬間、ほっと息を吐いた。
「どうしてこんなところに・・・」
「・・・えっと・・・」
言いにくそうに視線を泳がすキョーコは、また下を向いた。
「ほら、立って。お尻痛くないか?」
「・・・うん・・・大丈夫・・・」
キョーコを立たせて手を握ってリビングに誘導する。
そのままソファに座らせて、自分もキョーコの隣に座った。

「何か・・・嫌なことでもあった?」
「・・・・」
声は出さずに、首を横に振る。
「どうした?」
「・・・・」
同じ動作をただ繰り返すキョーコは、うつむいたままで視線を俺には向けてくれない。
「キョーコ?なんでも言っていいんだよ?俺に遠慮する必要なんて何もないんだから」
お願いだから俺には隠し事なんてしないでほしい。
君の思いを受け止めるくらいの覚悟ははるか昔からあるのだから。

「キョーコ?」
「・・・・」
そのとき、一滴の水がキョーコのひざの上の手を濡らした。
「キョーコ?どうした・・・?なんで泣いて・・・」
「・・・っ」
キョーコは俺に泣いているのを見られないように、俺に背中を向けた。
「ごめ・・・っなさ・・・なんでも・・・ないんです・・・」
「なんでもないって・・・そんなわけ・・・」
「本当です・・・っ・・・明日から・・・先に寝ていますから・・・。本当に何もないんです・・・」
「キョーコ・・・」
「おやすみなさい・・・蓮兄・・・」
「待って。キョーコ」
自分の部屋に戻ろうとするキョーコの腕を掴んで引き寄せる。
こんな風に泣いている君をおいて眠れるわけがないじゃないか。
「ちゃんと話して?さっきも言ったけど、俺に遠慮することはなにもないんだ。俺に嫌な面があったら言ってくれたら直すように努力するし。ね?キョーコ」
「・・・・」
「キョー・・・」
「・・・たの・・・」
「え・・・?」
「怖くて・・・たまらなかった・・・」
「・・・・・」
キョーコが俺のシャツを両手でぎゅっと掴んできた。
その手は震えていて。
俺はそのままキョーコを抱きしめた。
「なにが・・・・怖かった?」
「・・・っ・・・蓮兄が・・・ちゃんと帰ってくるかなって・・・」
「そんなこと当たり前だろう?」
「だって・・・っ・・・私がどんなに待っても・・・帰ってきてほしい人は誰も帰ってこなかった・・・!」
「・・・・」
「お父さんもお母さんも・・・死んじゃったんだから帰ってこないの当たり前だけど・・・・!」
「キョーコ」
「蓮兄も・・・いつだって私・・・呼んでたけど・・・」
「ごめん!キョーコ!!」
「蓮兄・・・も・・・帰ってこなかったらどうしようって・・・お父さんとお母さんみたいに帰ってこなかったらどうしようって思って・・・」
キョーコの身体を強く強く抱きしめた。
ごめん・・・ごめんね・・・。
怖かったんだね。
俺が帰ってくるのを確かめたくて、君はこうして待っていたんだ。
「だから・・・」
「うん」
「私・・・蓮兄にお帰りって・・・」
「うん・・・うん・・・ただいま。キョーコ・・・。俺はちゃんと君のもとへ帰ってくるよ。君を一人にはしないから。君が呼んだら今度こそ駆けつけるから」
「・・・っ・・・蓮兄・・・っごめんなさ・・・っ」
「謝る必要なんてどこにもないよ。キョーコ」
「でも・・・」
「ありがとう。待っててくれて。ありがとう」
「うん・・・」
それからキョーコが泣きつかれて眠ってしまうまで、ずっとずっとキョーコを抱きしめた。
キョーコの中の不安の種が、ひとつでも多くなくなってくれるように祈りながら。

「おやすみ、キョーコ。いい夢を」
頬の涙のあとを指で拭き取り、小さなおでこにキスを落とした。






『わかりました。今日の夕食は蓮兄の好きなものですよ』
「くす・・・楽しみだ」

「お前ね・・・女性スタッフが倒れて仕事にならなくなるからそんな顔をこんなところでするなよ」
「・・・なんですか。そんな顔って・・・」
「愛しの彼女がいますって言いふらしているような顔だよ」
「・・・・・・・・・・・」
「毎日律儀だな。お前も」
「当たり前じゃないですか。約束したんです。必ず連絡するって」
「そうか」
「はい」




次の日、松島主任にお願いして、俺と同じ機種の携帯電話を俺名義で準備してもらった。
それをキョーコに渡すと、「いりません」の一言で突っ返された。

「あのね?キョーコ。俺が君に持っていてほしいんだよ」
「でも・・・」
「いざというときに連絡が取れるし、ね?」
「いざって・・・」
「じゃあこうしよう!俺は毎日仕事が終わる大体の時間をメールでキョーコに知らせるよ」
「は・・・はあ・・・」
「だからキョーコもそのメールにはちゃんと返して?」
「・・・・・はい・・・」
「仕事中に電話をするのは無理なこともあるけど、キョーコがもしも不安になったときはいつでもメールをしておいで。俺もキョーコからのメールには必ず返事を送るから。ね?」
「・・・・」
「少しずつ、埋めていこう」
「埋める?」
「俺たちの時間」
「時間・・・・」
「俺もキョーコと離れている間寂しいし、君とメールででも話せるのは嬉しいから。だから俺のわがままだと思って受け取って」
「・・・・・はい・・・」
「ん。じゃあ、約束ね」
「はい」


毎日の挨拶。
二人の約束。
あの日から当たり前になった日常。
それでも俺たちにとって大きな意味がある。

「いってきます」
「いってらっしゃい」

ちゃんと帰ってくるよ。君のもとへ。
どんなことがあっても必ず。




あれから3年。
今でも、君の中から不安は消えず、大きく根を張っている。



つづく





来年の目標は、へたれを治す、だな。←病気のように・・・
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