スポンサーサイト

--/--/-- -- --:--

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
スポンサー広告

優しい時間 16

2009/09/17 Thu 11:17



やったああああああああああああ!!!!!

朝起きたらメール。

大好きなアーティストの20人限定イベントに入ったーーーvvvv

昨日の朝10時に予約開始だったのですが。
当然仕事中。
メールでの応募だったので、あらかじめメール作成しておいて保存状態にしておりました。
昨日は本当に忙しかったのですが、時計を見て、タイマーもかけて。
9時59分、休憩室に入り自分のケータイを取り出す。
自分のケータイの時計は10時に換わったけど、一応・・・と仕事が終わったばかりの後輩に
「あんたのケータイ10時になった?」と確認。
「うん。10時になった」と返事があったとたん、
ソーシン!!!!

いえええええいvv入ったーーーーー!!!!

いよっしゃああああ!優しい時間書くぞー!!!!

ってことでできあがった16話です。(←ええ!?)

ああ・・・もう寝なきゃ・・・今日は夜の仕事だから・・・・。

ってことで、優しい時間 16話ですvv



たとえば俺に特殊能力があれば、こんな風に時間と距離に惑わされず
君のもとへ一瞬で飛んでいくのに



優しい時間 16



はやくはやくはやくはやく!!
高速道路を走る自分の車が、こうものろく感じることは今までになかったと思う。
こうやってゆっくり走っている間に、キョーコはどんどん遠くなっていくような気がする。
行き先は京都だとわかっているけど、それでも距離が広がっていくような気がして。

京都まで約5時間。
本来ならたっぷりと休憩を入れなければいけない距離。
だけど、俺にはそんな余分な時間なんてないから、とりあえずトイレ休憩をかねて2時間走ったところでSAに入った。
そこで自分を落ち着かせるためにコーヒーを買う。
無理に移動して事故やトラブルに巻き込まれるほうがよっぽど大きなロスになる。
だけど、少しの休憩でさえも結局は俺を焦らせる要因にもなるような気がして、5分間の休憩のあとすぐにSAを後にした。
今休憩をしたから一気に京都まで走れる。
5時間なんかかかってなんかいられない。
1分でも1秒でも早くキョーコに会わなくちゃ。

前方・左右・バックミラー・サイドミラー全ての確認を慎重に、先行く車を追い越す。
頼むから俺の行く道を阻まないでくれ、そう願いながら。

社長と一緒にいるのなら、身の安全は保障されている。
きっと社長に驚かされているだろう。
あの人の一般人離れは半端なものではないから。
・・・・・泣いて・・・いなければなんでもいい。
泣くのは、俺の前であってほしいから。

キョーコに会ったら、まずは叱らなきゃいけない。
どうして消えたんだって。
どれほど俺が心配したのかわかるかって怒って。
そして抱きしめて。
よく頑張ったなって誉めてやるんだ。

『親が死んで親戚中たらいまわしで―――・・・』
俺が知らない6年間。
きっとたくさん辛い目にあってきた。
家が変わって、引越しもして。
そんな中で君はどんな風に過ごしてきた?
どんな風に思って過ごしてきた?
キョーコの寂しそうな笑顔ばかりが、浮かんでいた。



***



「・・・・みくん・・・」
え・・・・?
「最上くん・・・・」
・・・だれ・・・?
「着いたよ。最上くん・・・」
あ・・・あれ・・・・・・?
浮上する意識。目を開ければ。
「―――っ!!!」
ド派手なおじさんの姿にびっくりした。

「おはよう。よく眠れたかい?」
「は・・・・はい・・・・・」
そうだ。私、この車の椅子が気持ちよくて、寝ちゃったんだっけ・・・・。
「着いたよ」
「へ?着いたって・・・?ここ・・・・?え・・・??」
車の外を見渡すが、見たことのあるようなないような風景で、自分がどこにいるのかよくわからない。

「京都だよ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・え!?」
きょうと・・・京都!?
「どうしてですか・・・?」
「京都旅行がしたかったんだ!!」
「へ・・・?」
おじさんはよくぞ聞いてくれました!と言わんばかりに表情を輝かせて話し出した。
「私の知り合いがな、京都に行きたいと何度も電話で言うんだよ。ここがいい、あそこがいい!とうるさいほど。まあ、京都は何度も来てるが、人間急に行きたいと思うことがあるだろう?だから一人旅にでも行こうとしてたら、君があのマンションの前にたたずんでいたから旅に誘ったんだ!」
「・・・・・・・・・・・・は・・・はあ・・・・・」
お供がいらっしゃる時点で、一人旅ではないのでは・・・という疑問は飲み込んで、とりあえずおじさんの言葉に相槌をうった。
「私と一緒に遊んでくれるかな?最上くん。遠足だと思ってくれたらいいよ」
「・・・は・・・・・はい・・・・」
「よし!ではまずはどこから行こうか!!」

京都の街を走るには不便すぎるリムジンを降りて、タクシーで京都観光をすることになった。
私はバスでも良かったのだけれど、このおじさんの格好でバスに乗るのは、注目を浴びまくりそうで・・・・・。
でも結局、観光スポットに行くたびに注目されていたのだけれど。
散々観光して、気がついたら夕方6時。
夕飯は一生行くことのないと思っていた高級料亭に連れて行かれた。
綺麗な京料理の数々。でも、あまりに場違いすぎて、緊張して味わうことなんかできなかった。

「君は京都出身なんだろう?」
「・・・・どうして知っているんですか・・・?」
「言ったろう?私は何でも知ってるんだ」
「・・・・・・」
「どこか地元の人しか知らないような場所はないかね?」
「・・・・・・いえ・・・・・」
「そうか。それならそれでいいんだ」
「・・・すみません・・・」
「いいんだよ」
京都に住んでいたのは8歳まで。観光スポットに行ったのは、お父さんとお母さんと蓮兄とパパ・ママと京都巡りをしよう!と行った一度だけ。
観光客が多い京都の名所に、行くことなんてなかった。
子供が一人で行くような場所でもなかったし。
だから、京都に住んではいたけれど、私の世界は家族と蓮兄と過ごしたあの小さな町だった。
あの場所が私の中心だった。

「この京都で行きたいところはないかい?」
「え?」
「今日は私の行きたいところにつき合わせてしまったからね。今度は君の行きたい場所に行こう。大丈夫。ちゃんと遅くなっても、君をご自宅へ責任もってつれて帰るから」
「・・・・・・・・」
自宅・・・・・それは、東京のあの家・・・・
戻りたくなんかないけど・・・私にそんな選択肢なんてない。
「遠足は家に帰るまでだからね」
「・・・・・・・そう・・・ですね・・・・」

行きたいところなんかひとつしかなかった。
思い出がたくさん詰まったあの場所。
でも、そこまで行ってしまったらまた私は泣いてしまいそうで。
もうそこから離れることができなくなりそうで。

「・・・いえ・・・・どこも・・・ありません・・・」

行きたいけど、行けない。
あそこに戻っても何もないもの。
私がほしいぬくもりはどこにもないから。

「京都・・・とても楽しかったです・・・・」
「そうか」

食事を終わらせて、タクシーに乗り込む。
あたりはもう、すっかり暗くなっていて。
せっかくだから夜景でも見に行くか、とちょっと高台のほうへ。
今日は一日天気もよかったから、夜景も、星空もとても綺麗だった。
「本当に・・・綺麗ですね・・・」
「そうだな」
あまりにも綺麗で、吸い込まれてしまいそうだった。
いっそこのまま消えることができたなら、どんなに幸せだろうか。
楽しい思い出がたくさん詰まったこの街。
でも、現実を見なければいけないのもわかっている。
中学を卒業するまで、それまで頑張れば一人でだって生きていける。
だからそれまでの辛抱だ。
これまでだって頑張ってこれた。だから、あと少しくらいなんともない。

「最上くん。君には愛しいひとがいるかい?」
おじさんが静かに私に聞いてきた。
愛しい・・・そう言われて浮かぶのは大好きな両親と、蓮兄とパパとママ。
愛しくて恋しくてたまらないけれど、でももう何もいらないと思った。
愛しい存在なんて欲しくない。夢を見るのは、もうしない。
「いいえ」
現実を見るんだ。自分のために。
そんな感情、無意味でしかないんだから。

「・・・・・・・・・君は・・・・」
♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪
おじさんが何かを言おうとした瞬間に鳴り響いた音楽。
おじさんは鳴り響く携帯電話をとりだした。
「お」
ディスプレイをみるなり、声を上げて電話に出た。
「遅かったな」
少し場所を離れて話し出すおじさん。
私はまた夜景を眺めることにした。

しっかりとこの目に焼き付けておかなければ。
今度ここに来るのは何年後だろうか。
でも、きっと一人でまたこの場所に戻ってくるんだ。
そしてこの夜景を必ず見よう。
それを楽しみにこれから頑張っていく。絶対に負けない。

「さて、帰るか」
「はい」

おじさんのリムジンまで戻って、それに乗り込む。
走り出した車の外はスモークをはってある分暗くて、あたりもよく見えなかった。
照らし出す街灯を、ただ見つめた。
ばいばい。京都。
またいつかね。

♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪
「はいはい」
また鳴り響いた電話に、おじさんはちょっとめんどくさそうに出た。
「ああ、向かってるよ。そうせかすな」
そしてちょっと口角をあげる。
パタン、と閉じて電話を切るとおじさんは私を見た。
「ちょっと寄りたいところがあるのだが、いいかい?」
私は別にいいと、うなずいて返事をした。

そこから20分も走っただろうか。車が急に止まる。
「着いたよ」
窓のそとを見ても暗くてどこかわからなかった。
おじさんにつられるがままに車を降りた。
「・・・・・・うそ・・・・・」
そこは・・・・・大好きだった・・・・・公園。
「この近くに友人が住んでいてね。ちょっと寄っていけとうるさかったんだ。どうだい?このあたりはしずかで綺麗な町並みだろう?」
「・・・・・・・・・・」
「少しだけここにいてくれないかい?私は友人に土産でも渡してくるから」
「・・・・・は・・・い・・・・」
私はなぜここにいるのかが自分でも信じられなくて、呆然としてしまった。
おじさんは手荷物を持って、公園を出て行ってしまった。
少しだけ・・・・少しだけ・・・いいだろうか・・・。
だってここまで来てしまった。
こんなところまで来る予定はなかったのに。
少しだけ歩いたらすぐに戻るから。

「すみません!すぐに戻ります!!」
運転手さんにそう言って、私は走った。
よく知った道、何度も歩いたこの道。
ここを左に曲がって、つぎの角を右に曲がれば私の・・・。

「はあ・・・はあ・・・・え・・・・・?」
私の・・・・うちは・・・・・・・どこ・・・・・?
「あ・・・あれ・・・?私・・・道間違えたのかな・・・・?」
来た道を振り返って確認するけど、やっぱり道は間違っていなかった。
私の家があった場所は、今は更地になっていて、そこには売地の看板。
私の家は、もうどこにもなかった。
いつ・・・取り壊されたの・・・?
いつか帰れると思っていた場所は、いつからなくなっていたの?
だってここには父さんも母さんもいるような気がしていたのに。

私は空き地になっている、自分の家だった場所に足を踏み入れた。
「ここは・・・玄関だった場所。ここで靴を脱いで、ここはリビング。ここに・・・キッチンがあって・・・」
なにもなくなってしまった場所に、思い出を探す。
リビングであった場所に座った。
みんなでここでたくさん話をした。
みんなでここでご飯を食べた。
笑いが耐えない場所。大好きだった場所。
もう・・・どこにもない。
「やだ・・・やだよう・・・こんなの・・・いやだ・・・」
地面の土をぎゅっと握りしめる。
「どうして一緒に連れて行ってくれなかったの?」
どうしてこんなふうに私をひとりにしたの?
どうして私はこんなに苦しまなくちゃいけないの?
もう苦しくて息もできない
涙がぽとぽとと暗い地面を濡らしていく。
「私・・・お父さんとお母さんと一緒に死ねばよかった・・・」
そしたらこんなに苦しむことはなかった。
こんなふうに大好きな人を憎むこともなかった。
こんな嫌な自分を見ることもなかった。




「それは困る・・・・」

突然聞こえてきた声に、身体が震えた。

「キョーコ」

だってそんなはずはないんだ。
こんなに都合のいいことはあるはずがない。

「こっちをむいて?」

これは私にだけ聞こえる幻聴。
逢いたいと思ってしまう自分自身が作り上げてしまった幻想。

「キョーコ」

私は頭を振って、その声を打ち消す。
違う。逢いたいなんて思ってないよ。だから呼ばないで。
私を蓮兄の声で呼ばないで・・・!!!

ふわっと後ろから優しい香りに包まれた。
「――――っ!!」
それは温かくて、安心する気配。

「遅くなってごめん。君を一人にしてごめんね・・・・」
ぎゅっと抱きしめられる。
「迎えに来たよ。キョーコ」
「・・・っ」
なんて返事をしていいかわからなかった。
たとえこれが一瞬の幻だとしても、嬉しくてたまらなかった。

「蓮兄・・・・・」
「うん?」
「蓮兄・・・」
「うん・・・」

私は蓮兄のほうへ振り向いた。
幻でもいい。蓮兄の顔をしっかりと見たかった。蓮兄をちゃんと確認したかった。

「本当に・・・本当に・・・蓮兄・・・?」
「うん。本当に敦賀蓮だよ」
「髪が黒い」
「日本人に見えるようにね」
「目も・・・」
「親の七光りはごめんだからね」
「・・・・・・」
「家に帰ったら、本当の俺を見せてあげる」
「・・・・・いえ・・・・?」
「うん。一緒に帰ろう」
「・・・・・・・・帰るところなんて・・・・どこにもない・・・・・」
「あるよ」
「・・・・ないよ・・・」
「ある。君の帰る場所に俺がいる」
「・・・・・・・・・・」

「ずっと君と一緒にいるよ」




あなたはずっと私の光だった。
欲しくて欲しくて、手の届かない光だった。
その光に、やっと手が届いたような気がした。
「蓮兄・・・」
「うん」
「逢いたかった」
「うん。俺もだよ」
「逢いたくてたまらなかったの」
「うん。俺もだよ。辛いときにそばにいてやれなくてごめん。君をひとりにしてごめんね」
暗くて、よく見えないはずなのに、なぜだかはっきりと蓮兄の涙と笑顔が見えたような気がした。

ぎゅっと抱きしめて、これが幻なんかじゃないことを。
自分の肌で確かめた。


つづく






・・・・・・・・・・・・・・・。
優しい時間 | コメント(1) | トラックバック(0)
コメント
良かった

管理者のみに表示

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。