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優しい時間 9

2009/08/07 Fri 09:59

こんにちわ。
梅雨明けもして、空はきれいな青空が広がっています。
最近は日陰の玄関に出て、ボーっと青い空と緑の田んぼや山を眺めたりしています。
あんだけ毎日仕事に追われてたのになーって思います。

たくさんの人が心配してくれました。
前の部署の先輩が、仕事帰りにわざわざウチまで来てくれました。
本当に私は周りの人に恵まれていますね。
ありがとうありがとう。

今日は優しい時間の更新です。(今日はってか、最近それしか更新してないww)
今回は蓮視点です。
では、どうぞvv




いつだって君の事を想っていた




優しい時間 9




『今日は23時過ぎにしか帰れないので、先にご飯食べて寝ているように。お休み。キョーコ』
ドラマ撮影の待ち時間、今日の帰りの予定をキョーコにメールで送る。
いつもの習慣。
ドラマ撮影のときは遅くなることが多い上に、泊まりでロケに行くことも多い。
忙しいというのは俳優としてありがたいこと。

俺は父親のような俳優になりたくて、同じ道に進んだ。
ただ、舞台は日本。
父はハリウッド俳優、クー・ヒズリ。母はモデルのジュリエナ・ヒズリ。
二人の人気はものすごく、特に父は日本でも活動していただけに、日本での知名度も高い。
俺は敦賀蓮として、本名で活動している。
やはり七光りは避けたいものだ。
俳優をするにあたって、活動する場所は日本以外に考えられなかった。
キョーコがいる日本。
日本にいればいつかキョーコに逢えると信じていた。

「敦賀さんって英語お上手ですね。さっきの英語すごかったです~」
共演の女優が俺の隣の椅子に座りながら、そう話しかけてきた。
「そうですか?ありがとうございます」
「留学とかされたんですか?」
「両親の仕事の関係で数年だけ外国暮らしだったので」
「へええ!かっこいいですね!!」
「そうですか?俺は日本に帰りたくて仕方がなかったですけどね」

そう。いつだって戻りたかった。
すぐに日本に行ってキョーコを探したかった。
学生の俺は日本に行けても年に1~2回で。
滞在期間だって短くて。
ただ日本に行けたところでキョーコの行方はわからなかった。
俺にできること。
それは力をつけることだった。
いつだってキョーコを迎え入れることができるように。
そのために、勉強も人一倍した。飛び級だってした。大学を卒業したのは20歳。
それまで、ローリィ社長の下で極秘に俳優の勉強もさせてもらった。
なにもかも必死だった。
考えるのはいつもキョーコのこと。
一人で泣いてはいないだろうか?と。

泣き虫のあの子は、怖い話を聞いたと震えながら俺のベッドにもぐりこんできたことがあった。
キョーコは俺に抱きつくと、安心したようにいつも笑顔になって、すぐに眠りについていた。
その様子が、嬉しくて。
可愛くて可愛くて。
俺にとってはたった一人の妹。
血はつながってなくてもかけがえのないたった一人の存在。
あのとき、心を軽くしてくれたのはキョーコだった。
俺が自分のことを嫌いにならずに済んだのは、キョーコのおかげだった。

キョーコ。キョーコ。キョーコ。

もうすぐ、日本に行くから。
俺が日本にいること、ちゃんと知らせるから。
だからどうか、君の姿を・・・君の笑顔をもう一度見せてくれないか?



「蓮。いいか?日本に行って、もしもキョーコと逢うことができたら、必ず連絡するんだぞ?いいな?」
「うん。わかっているよ。父さん。」
「気をつけて行ってらっしゃい」
「ありがとう。母さん。行ってきます」

アメリカを出て、向かうのはボス・ローリィ社長のところ。
20歳のときだった。
それまで俳優の勉強も、モデルの勉強だってしてきた。
幸いなことに、すぐに仕事も舞い込んできて、名前が出してもらえるようになった。

俺が本名で活動する理由は、芸名を使う両親の七光りを避けるためだということもあったが、本当はキョーコに気づいてもらうため。
そのためには本名じゃないと意味がなかった。
髪は日本人に見えるように黒く染めて、カラーコンタクトを装着しているが、せめて名前だけでも気づいて欲しかった。

キョーコ、俺は日本にいるよ。
君はどこにいる?
君が笑っているなら、それだけでいい。
でも、もしも泣いているなら、どうか俺に抱きしめさせて。
君が俺を助けてくれた分、今度は俺が君を守るから。

見上げた空はとても高くて。
ただそのときは、同じ空の下にいられることが、嬉しくてたまらなかった。




仕事が軌道に乗り始めたら、ボスがマネージャーをつけてくれた。
それが社さんだった。
一緒に行動するうちに、この人はきっと信頼できる人だと確信していった。
いずれ必ず話さなければいけないことになる。
いくら信頼できるとはいえ、両親のことや俺がアメリカ国籍であることは言うことはできないが、キョーコのことは言わなければいけないと思った。
俺が仕事の合間にキョーコを探すこと、これを認めてもらう必要があった。

「社さん。俺、探したい人がいるんです」
「ん?どんな人?」
「今・・・13歳の女の子なんですが・・・」
「・・・・・・・・・・蓮・・・・まさかお前・・・・ロリコンとか言わないよな・・・?」
「なんですか。ロリコンって」
「・・・・・・・おまえロリコンを知らないのか・・・?」
なにやら馬鹿にされたような感じもしたけど、そんな言葉アメリカでは使わない。
「ま、いいです。幼馴染の女の子なんですけど、行方がわからなくてずっと探してるんです」
「そうか・・・幼馴染・・・ずっとってどれくらい探してるんだ?」
「もう・・・5年になりますね」
「はあ!?5年!?」
そう。5年。
空港で別れたときは、キョーコはまだ8歳だった。
大きな瞳から大粒の涙をポロポロと流していた。
「・・・興信所には届けてみたのか?」
「はい。でも・・・なかなか見つけてはくれなくて。引越しが多いみたいで」
「それでどうやって探すつもりだ?」
「わかりません。でも、キョーコを探すことは諦めたくないんです」
「・・・・・・そうか・・・・・・」
そのための日本。
それがなければ、活動するのは日本じゃなくてもよかった。
あの子の存在だけが、今の俺の活力源だった。

「キョーコちゃんっていうのか。その子」
「はい・・・。最上キョーコと言います」
「じゃあ、お前がもっと売れてどんな小さな村にでも名前が知れ渡るような存在にならないといけないな!」
「・・・・・・」
「キョーコちゃんに会いに来てもらわなきゃいけないだろう?会いたいって思わせないといけないだろう?もう探す手がないなら」
「はい」
「ん。俺はお前が売れるように最大限の協力をするから、頑張ろうな。蓮!」
「はい!!よろしくお願いします。社さん!」
生き生きとした瞳で、そう言ってくれた彼は本当に心強くて。
彼をマネージャーにしてくれたボスに感謝した。

それからはとりあえず無我夢中で仕事をした。
アルマンディとの契約話も入ってきて、今度はモデルとしても活動を始めた。
テレビにも雑誌にもポスターにも映るようになった。
なのにキョーコからの連絡はなかった。

5年。
子供にとっては長い年月。
もう、俺のことなんか忘れてしまったのだろうか?
そんなことまで考えてしまう。
同じ名前でも、姿が変わってしまえば気づかないのかもしれない。
実際、アメリカに渡ってから、俺の身長はかなり伸びたし、身体つきも変わってしまった。
声だって違うし、髪の色も目の色も違えば、俺だと気づいてもらえない可能性のほうが高く思えた。
ましてや、芸能人の俺に、連絡してこようなんて思うだろうか?
今更そんな不安ばかりが立ち込めてきた。




「蓮。明日は久々のオフだぞ。ゆっくり休めよって言っても、そんなことしなさそうだけどな・・・お前・・・」
「はは。大丈夫ですよ。無理はしませんから」
「そんなことを言って。また京都に行くって言わないだろうな」
「・・・・・・・・・」
「・・・・図星か・・・。まあ、気をつけて行って来いよ」
「はい」
なにもかも見透かしたようなマネージャーに苦笑した。
日本に来て、仕事の合間にとった運転免許。
車を走らせて向かうのは京都。
何も探す宛がないけど、じっとしていることもできなかった。

昔キョーコが住んでいた家はもうない。
取り壊されて、今は空き地になっていた。
この場所で、どれだけの思い出ができただろう。
家に入るとキョーコが抱きついてきて、おばさんの優しい笑顔があった。
おばさんは俺に「いらっしゃい」とは言わなかった。
いつだって「おかえり」って言ってくれた。
しばらくしておじさんも帰ってきて、「お、蓮。ただいま」って笑顔で言ってくれた。
なんでおじさんとおばさんなんだ!ってしかられたこともあったっけ。
俺の両親とキョーコの両親が、キョーコの家で食事をしていたとき。
お酒の入ったおじさんが「キョーコはクーとジュリのことをパパ・ママって呼ぶのに、どうして蓮は俺と母さんのことをおじさん・おばさんって呼ぶんだ!不公平だろう!!」って。
その発言にポカンとしてしまったけれど、その場は一気に笑いに包まれた。
「お前、蓮になんて呼ばれたいんだ?」
父さんが苦笑いしながらおじさんに言うと、「パパと呼んでくれ!」そう即答された。
「・・・・おじさん・・・俺・・・男なんですけど・・・パパって・・・・」
「お前、クーのことは父さんって呼ぶじゃないか!ならパパだろう!!」
「じゃあ、私にはママってよんでね。蓮くん」
「・・・・・・・はい・・・・・」
苦笑いするしかないこの状況。
おじさんとおばさんのことを「パパ・ママ」と本人たちの前だけでは呼ぶようにした。
恥ずかしくてたまらなかったけど、笑顔の二人をみるのは嬉しくてたまらなかった。


「・・・・キョーコ・・・パパ・・・ママ・・・・・」
この場所でたくさん笑った。
この場所で心がいつも満たされた。
笑顔がつまったこの場所には、もうあの大好きな家はなくて。
大好きな人たちは居なくて。
何度ここに来ても溢れるのは涙だった。

早朝の町は、誰もいなかった。
キョーコと出逢った公園にも、もちろん誰もいなかった。
ベンチに腰掛けて、公園の中を眺める。

あの日、あの時この公園を通らなければ、ピンクのボールを拾わなければ、キョーコと出逢うことなんてなかった。
本当に偶然。
時間が重なっただけの偶然。
でも、そんな偶然は俺にとっての運命で。
運命の出会いとしか思えなかった。
だからこそ、運命の相手だからこそ、また出逢えると思っていた。
はやく・・・はやく逢いたい・・・。
想いは募るばかりで、現状は何も変わらなかった。



キョーコとは逢えないまま、すでに日本に来て1年以上が経過していた――――・・・




つづく






そろそろ再会させなければいけませんね
ってか、初心者マークの蓮が想像できないww

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