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優しい時間 7

2009/07/26 Sun 17:14

雨が降ったりやんだり。

梅雨明けはいつでしょうかね。

私の梅雨はまだまだ続くようですが・・・orz

はやく色んな意味で梅雨明けして欲しいものです。

では、今日は優しい時間です。

下記よりどうぞvv




雷のあとは、なぜかとても晴れた空。

私は・・・この青空さえも嫌いだった。




優しい時間 7




目が覚めて、最初に見たのは白い天井。
見覚えのない、知らない天井だった。
薬品の鼻につく匂い。
白い服を着た男の人と女の人。

知らされたのは残酷な現実。
もう、いっそ目覚めなければよかったと思った。

父と母の遺体は、事故での損傷が激しかったけど、顔はとても安らかな表情をしていて。
棺に横たわる二人は、本当に眠っているみたいだった。

「お父さん・・・お母さん・・・・」
どうしてこんな箱に寝てるんだろう。
いつも早起きのお父さん。お母さんはお寝坊さんで、しょっちゅう私とお父さんがお母さんを起こしていた。

「お父さん。もうお昼だよ。起きなくちゃ。お仕事に遅れるよ?」
「お母さん・・・今日は何のお料理を教えてくれるの?早く起きて一緒にお料理しようよ・・・」

いくら話しかけても二人は返事をしてくれない。
頬を触ると、とても冷たくて、いつも自分を抱きしめて暖めてくれる体温はなかった。
怖かった。
大好きな二人なのに怖くてたまらなかった。

この二人はただの人形かもしれない。
お父さんとお母さんはきっとどこかに隠れていて、私をびっくりさせる気だ。
きっとそう。
お父さんもお母さんもたくさん遊んでくれた。
今日もかくれんぼをしているはず。
私は家中を探した。
お父さんとお母さんの部屋、クローゼットの中、お風呂場、私の部屋・・・・
でも、どこを探しても二人をみつけることができなかった。

ねえ、私の負けでもいいよ?
だから・・・出てきて・・・
キョーコは見つけるのがへたくそだなって、笑って?
優しい声で、私の大好きな声で、そう言って?

「おとうさぁん・・・おかあさぁん・・・」
私をおいてどこに行ったの?私はいらなくなったの?
ねえ!!!

「キョーコちゃん」
突然名前を呼ばれて振り返ると、そこには知らない女の人がいた。
「ぐす・・・っ・・・だれ・・・?」
「おばさんはね、キョーコちゃんのお母さんの親戚なのよ」
「・・・しんせき・・・・?」
「キョーコちゃんのお母さんのいとこなの。わかるかな?」
「・・・・・・・いとこ・・・?」
私は今まで親戚というものに会ったことがなくて、両親は二人とも一人っ子だったから、その言葉さえ知らなかった。
でも、この人なら二人のいる場所を知ってるかもしれないと思った。
「・・・お父さんとお母さん・・・どこ・・・・?」
「・・・・・・・・お父さんと・・・お母さんね・・・・・」
「・・・うん・・・・・」

「亡くなったのよ」
「・・・・・・」
「死ぬって、わかるよね?」
女の人は悲しそうな顔でそう言った。

シヌ・・・?
そんなはずないよ・・・
だってお父さんとお母さんが死ぬわけないじゃない。
嘘をつかないで!!

「キョーコちゃん、お父さんとお母さんに・・・お別れ言おう?」
「・・・おわかれ・・・・?」
「そう。お父さんとお母さんは天国に行くの。だから、ね・・・?」
「てんごく・・・」

「もう、出棺なの。ね?キョーコちゃん。一緒にお父さんとお母さん、お見送りしよう?」
「!!」
嫌な感じがして、私は二人の人形がある場所に急いだ。
そこでは、なぜか人形の入った二つの箱を運ぶ大人たち。
「ねえ、どこにいくの?そのお人形・・・どこに連れて行くの!?」
お人形でもいいから、私の傍にいてほしかった。
お父さんとお母さんが帰ってくるまで、ここにおいておいて欲しかった。
箱を運ぼうとしている男の人の足にすがって止めようとしたら、さっきのおばさんに体を捕まえられた。
「キョーコちゃん!!お人形じゃないのよ」
「お人形だもん!!冷たかったもん!!」
抑えられた体を離そうと必死でもがくけど、放してくれなかった。
「キョーコちゃん!!お人形じゃなくてお父さんとお母さんなのよ!二人とも亡くなったの!天国に行ったのよ!」
「違う!!お父さんとお母さんは私をおいて天国になんて行かない!!お願い!!連れて行かないで!!」
大人たちは止まってくれない。
お人形を私のお父さんとお母さんと言う。
お父さんとお母さんならどうして私の傍に置いておいてくれないの!?

「・・・んにい・・・!蓮兄!!助けて!!お父さんとお母さんが連れて行かれるの!!蓮兄!!!」

何度呼んでも返事はなかった。
あの雷のときも蓮兄は来てくれなかった。
今も、お父さんとお母さんみたいに呼んでも傍に来てくれない。

―また絶対キョーコに会いに行くから

またって、いつ?

いつになったら来てくれる?

明日?
あさって?

今すぐここに来て
大丈夫だよって言って
お父さんとお母さんはすぐ帰ってくるよって・・・・・

蓮兄は嘘つかないから、きっとそう言ってくれる。
本当のこと教えてくれる。



二人が私の前からいなくなって、「お父さんとお母さんだよ」って、小さな箱を渡された。
中には小さな陶器。
ふたを開けると、真っ白な、本当に真っ白な骨。
お父さんと、お母さん。

認めたくはなかった。
でも、どんなに泣いても二人が帰ってくることもなかった。

空を見上げると、きれいなあおい空。
きれいすぎて、夢だと思った。
夢だと、そう思いたかった。

「・・・・コーン・・・・あなたは・・・私の傍にいてくれる?」
ポケットの中に入れていたコーンを取り出し、手のひらにのせた。
「お願い・・・もう・・・一人にしないで・・・?」
コーンは何も答えてくれない。
何も答えてくれないけど、私に残ったたった一つのあおい石。
「もう、何もいらないから・・・コーンは傍にいてね・・・?」


どうして人は簡単にいなくなってしまうんだろう?
さっきまでたしかに笑っていたのに。
楽しい日になるはずだったのに。





日常は、すぐに色を変える。
















「キョーコ?」
目をあけたら見慣れた天井があった。
「え・・・・?」
部屋の中は灯りがついていて、頭のほうからクスクスと笑い声が聞こえた。

「キョーコ、いつから寝てたの?」
「え・・・れんにい・・・?」
「ただいま」
「・・・・・・・・」
「寝ぼけてるの?」
「・・・・・・・・」
「あれ?キョーコ。泣いていたの?俺がいなくて淋しかった?」
蓮兄の大きな手が私の頬に触れた。
それはとても暖かくて、ここにいるって・・・感じた・・・。

「ただいま。キョーコ」
蓮兄はぎゅっと私を抱きしめてくれる。
ねえ、これは夢?それとも現実・・・?

「・・・・って!蓮兄!?」
急に私は現実に戻って、ばっと蓮兄の体から離れようとした・・・けど離れなかった。
「蓮兄!!離して!!」
「淋しかったんでしょ?キョーコ。いいよ?俺なら」
「何言ってんですか!!離してください!!」
「そんなに恥ずかしがらなくてもいいのに」
「そんなんじゃありません!!」
ぐっと力を込め、蓮兄の腕から抜け出した私は、もう外が暗くなっていることに気づいた。
本当にどれだけ眠っていたんだろう?
「!洗濯物!!!」
「大丈夫。入れといたよ」
「あ・・・ありがとう・・・ございます・・・」
仕事で疲れている蓮兄に、そんなことまでさせてしまった。

しゅんとする私に、蓮兄はいつも笑って許してくれる。
「キョーコ、キョーコのご飯が食べたいな?」
「はい。今から作りますね。何が食べたいですか?」
「キョーコの手料理ならなんでもいいよ?キョーコが食べたいものを作って?」
「はい」


蓮兄と一緒に暮らすようになってから、私は本当に幸せで。
この幸せが続くのなら、夢でもいいって・・・・そう・・・思った。



つづく
優しい時間 | コメント(3) | トラックバック(0)
コメント
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Re: タイトルなし
無記名の方様♪

温かいコメント、ありがとうございます。
何度も何度も読ませていただきました。

黙読に声、そういうことは一度も考えたことがありませんでした。
でも私自身、他のサイトさんのお話にとても感情移入して読んでしまいます。
感動屋さんと人から何度も言われるほど涙もろいです。
じつは、今回の話の冒頭のほうでは、私自身も涙しながら書いたほど(それが果たしてうまく文章化できているかどうかは疑問ですが)。
そして、拍手コメントを頂くたびに、嬉しくて顔がにやけます。
それが、黙読の声というものでしょうか?
温かい声で読んでいただいているなんて、最高に幸せです。

朗読のお手伝い、すごいですね。
私は自分の仕事以外にどういう仕事があるのかをあまり知らないほど世間知らずです。
自分の未知の世界の方からこうしてコメントをいただけることをとても嬉しく思っています。

職場に行けばストレスばかりで、正直参ってますが、今を乗り切ればきっといいことがあると信じています。
それに、こうして励ましてくださる方がたくさんいらっしゃいます。
私は幸せ者ですね。
更新は亀でもしっかり続けて行きますので、これからもどうぞよろしくお願いします。

ありがとうございました。
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