スポンサーサイト

--/--/-- -- --:--

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
スポンサー広告

幸せのカタチ 8

2009/01/26 Mon 17:25

こんなつたない文章たちに拍手をしてくださった方々、ありがとうございマッス(土下座)

幸せのカタチ 8です。
続きを読むよりどうぞ!!


「大丈夫。大丈夫。大丈夫・・・・・・・・・うん!」
手の中にコーンを握り締めて、私の悲しみを吸い取ってもらう。
これも昔の彼に貰ったものだけど、やっぱりこれには魔法がある。
だって、頑張れる勇気をくれるもの。
「いつも・・・ごめんね。あなたに頼ってばかりで・・・。でもこれで最後にするから・・・。」

敦賀蓮と極力会わないように、松島主任を脅して彼のスケジュールを聞き出した。事務所にいるときも同一の場所に長くいることのないように、常に動いていた。
仕事中は彼のことを忘れることができるから、詰め込めるだけ詰め込んだ。
椹さんにもモー子さんにも詰め込みすぎだといわれたけど、京子が必要とされる限り頑張りたかった。
でも、それももうすぐ終わる。
そのとき、私は彼を本当に意味で解放してやれるのだ。

社長に私が伝えたのは、私と敦賀蓮の関係を彼自身には伝えないでほしいこと、そして・・・芸能界を引退させて欲しいということ。

もちろん両方反対された。
でも彼がこんなことになった以上、傍にいることは出来ないと思った。
だって、もし彼が私のことを思い出したら・・・。
また私は彼を不幸にしてしまう。
社長から話しを聞いたんだろう彼のお父さんであるクー・ヒズリと、お母さんであるジュリエナ・ヒズリからも電話があり、そのときに私の想いを伝えて謝った。
彼らは私に非はないと言ってくれたが、やっぱり原因は私にあるのだから。

私を拾って芸能人として育ててくれた社長、椹さん。演技の楽しさを教えてくれた先生。なんだかんだと私に付き合ってくれたモー子さん。私と彼のことを一番に応援してくれた社さん。父と母のように接してくれただるまやの大将と女将さん。私を支えてくれたたくさんの人たち・・・・。
そして・・・私に愛すること、愛される喜びを教えてくれた久遠。
きっとこれからたくさん迷惑をかけることになる。
でもそれでも私がここにいるよりもみんなの未来はいいものになる。
私は・・・・・みんなを不幸にしてしまう存在だから・・・・。
だから、迷惑をかけることになっても敦賀蓮との仕事が終わったら私はみんなの前から姿を消そう。
それが一番いい選択なのだから・・・。


**********


「久遠!!!!」
「・・・・・・・・・・・・」
事故から1ヵ月後、両親の突然の訪問にびっくりした。
『久遠。あなた記憶がないって本当なの?ボスに聞いたときはびっくりしたのよ。すぐに飛んできたかったけど私もクーもロケで情報が一切入らない所にいて、ボスも教えてくれなかったからこんなに遅くなってしまったんだけど・・・他に痛いところはないの?』
「・・・・・・・」
『久遠?』
「・・・・あの、なんで・・・?」
父と母がなぜこんなにも自然に話しかけてくるのか、ましてやなぜ直接自分の家に来たのか不思議だった。
アメリカを捨てるように日本に来てから、二人とは連絡も取っていなかったはずだ。
『まて・・・ジュリ。久遠が混乱しているようだ。』
『え・・・?もしかして私たちとのことも・・・?』
父が淋しそうな顔をしてこくりと頷いた。
『・・・・そう・・・』
母も淋しそうな顔をする。
『久遠・・・少し話をしてもいいか?』
父の真剣な顔を見たら頷くことしかできなかった・・・。

三人分のコーヒーを入れる。
しんとした部屋の中、ますます空気が重くなるのを感じた。
『久遠・・・・』
『・・・はい・・・』
『おまえはなぜ俺たちがこんな風にお前に接しているのか疑問に思っているだろう?』
その言葉に俺は頷く。
父と母はお互いを見て、その後まっすぐに俺を見た。
『俺たちはな・・・お前とは二年前に和解しているんだよ』
『え・・・』
父が何を言っているのか分からなかった。
『おまえ自身がアメリカの自宅に来てくれたこともある。』
『そんな・・・』
全く身に覚えがない。
ありえない。自らアメリカの家に戻るなんて事。
『俺たちから詳しいことを言うわけにはいかない。でも・・・頼む。なんとしても思い出して欲しいんだ。そうでないとお前は大切なものをこの先ずっと失ってしまう・・・』
『ちょ・・・っ、何なんですか。その大切なものって。』
『失ってしまってから思い出しても、もうきっと手に入らない。おまえは絶対に不幸になる。』
『な・・・・っ』
思い出したいのは俺も一緒だ。なんでこんなことになっているんだ。
両親とのことも覚えていない。
京子さんと共演したことも京子さんのことも覚えていない。
自分と関わりのあった一人一人の名前も覚えているのに女優・京子のことは名前すらも覚えていない。
もう、全ての意味がわからなくなってきた。
なぜだ。なぜだ。なぜだ。なぜだ。なぜだ!!!!!
頭の中がぐちゃぐちゃしている。

そのとき・・・
――――――久遠・・・・
「え・・・・・?」
今・・・誰かに・・・呼ばれた気がした。
顔を挙げたけど両親が声を発した様子はなかった。
・・・じゃあ、誰が・・・・?

『・・・父さん・・・・・』
『ん・・・?』
『・・・・・女優の・・・京子という女性を知っていますか・・・?』
なぜか、今・・・それを聞かなければならないと思った・・・。
父は少しだけ顔を緩ませて・・・
『ああ・・・。よく知ってるよ――――――』

そのとき、パズルが繋がったような気がした。

そして、彼女と全く会えないときを過ごした後、ようやく彼女との共演の日がやってきた――――


「よろしくお願いします。京子さん」
「こちらこそ、よろしくおねがいします。敦賀さん。」
そして、運命の一日が始まった。


幸せのカタチ | コメント(0) | トラックバック(0)
コメント

管理者のみに表示

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。