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LOVE 17

2009/04/14 Tue 06:10

今回、いちばん書きたかった回でした。
ようやくここまで来ました。

では、LOVE 17話、どぞ☆


LOVE 17


「え・・・・・・?」
視界の片隅に、見えたような気がした。
まさかそんなことがあるはずはないって、そう思うのに。
それなのに心臓はドクドクと痛いほど大きくなっていって。

違うわ。
だってあの人がこんなところに居るわけないもの。
私の卒業式に来るわけないもの。
高校の卒業式。広い会場でおこなわれるその場に、私は卒業生として座っていた。
私は芸能コースの代表として卒業証書を受け取りに壇上にあがる。
「最上キョーコ。卒業おめでとう」
校長先生に祝福の言葉を貰い、証書を受け取って壇上から降りようとしたときだった。
なぜか・・・視界をかすめたそれに私は・・・・震えた。
違う、そんなんじゃないと自分に言い聞かせながら笑顔で自分の席に戻った。

怖くて・・・たまらなかった・・・。


クラスメイトや、お世話になった先生方にお礼を言って、たくさん写真をとった。
携帯電話を見るとメールが入っていた。
それはモー子さんからで。
『卒業おめでとう。今日はこのあと何もないって言ってたわよね?ランチにでもどう?』
モー子さんからのお誘いが嬉しくて、式のときに起こったことを忘れられた。
モー子さんに電話をすると、高校の近くに居るから来てくれると言ってくれたから、モー子さんを待って。「着いたわよ」の電話で慌てて外に出た。
モー子さんは軽い変装をしていたけど、もともと美人なうえに芸能人としての華もあるから、いろんな人がモー子さんに見とれていた。
なんだか、この綺麗な人は私の親友なのよーって大声で自慢したくなる。
「モー子さん!」
そう言ってもー子さんのところまで駆けつける。
「もー!大声で呼ぶのやめなさい!恥ずかしいでしょ!!」
「えへへ。嬉しくって!モー子さん、何食べに・・・」

コツ。

小さな音のはずなのに、なぜかとても大きく聞こえた音。

コツ、コツ、コツ、コツ

冷たいハイヒールの音が耳に響く。
とても・・・とても・・・嫌な感じがした。

「も・・・っ・・・モー子さん!早く行こう!!」
「ちょっどうしたのよ?」
ここから離れなきゃいけないって私の本能が叫んでいる。
早く!早く!!!

モー子さんを必死に押していると、私の一番聞きたくなかった声が響いた。

「キョーコ」

その声に、私のからだは固まる。

どくんどくんどくんどくん

聞き間違いよ。あの人がここに居るわけない!!
それなのに・・・
「キョーコ」
もう一度響いた静かな声。

どくんどくんどくんどくんっ

無意識にモー子さんの服を握り締める。
体が動かない。
みたくない!!振り向きたくない!!!

「キョーコ。話があります。一緒に来なさい」

・・・・・・・・な・・・・

必死の思いでからだを動かした。
久しぶりに見るあの人は・・・・やっぱり記憶に違わず冷たい目をしていた。

「お・・・・かあ・・・さん・・・・・」












「あ・・・・・・っ」
ユメ・・・・・?
ここは・・・私の・・・部屋・・・・・?

「うぐっ・・・」
突然襲ってきた吐き気に、慌ててトイレに向かう。

「う・・・っ・・・げほっ・・・げほっ・・・」
吐くだけ吐いても、吐き気は止まってくれなかった。
涙がぼろぼろとこぼれて、ああ・・・私このまま死ぬのかもしれないなんて思ってしまう。

誰もいない部屋の中は、しんとしていて淋しくて。
トイレの壁に寄り添って息を落ち着かせる。
このまま死んだら・・・きっと誰にも見つけてもらえないだろうなあ・・・。

敦賀さん・・・
敦賀さんにも会えなくなるなあ・・・
・・・敦賀さんは・・・私が死んだら悲しんでくれるかな。
それとも・・・怒るかな?
そんなことを考えていると、また涙がこぼれてくる。

あの人のゆめなんかどうして見てしまったんだろう・・・・・


あの後、席をはずそうかと声をかけてくれたモー子さんに無理言って同席してもらって。
タクシーで喫茶店に向かった。

私の正面に座ったあの人の顔を、本当に久しぶりに見た。
最後に見たのはいつだっただろうか。
でも・・・やっぱり変わっていない。その冷たい瞳。
感情のないような冷たい表情。

「キョーコ」
「・・・・・はい」

抑揚のない声に、私のからだはまた固まる。
いつもそうだ。
この人に名前を呼ばれると、怖くてたまらない。

「まずは・・・卒業おめでとう」
「え・・・・・?」
一瞬・・・何を言われたかわからなかった。
この人が私に対しておめでとうなんて言ってくれたことはなかった。
入学式も卒業式も授業参観も一度も来てくれなかったこの人から、そんな言葉を聞くとは思わなかった。

「あなたも高校を卒業したし、仕事もしているようだし。なにより19歳。充分大人よね」
「・・・・・・・・」

「あなたにもう母親は必要ないでしょう?」
「・・・・・え・・・・?」
何を・・・言っているのかわからなかった。


「あなたと縁を切らせてもらいたいのよ。キョーコ」














・・・・・母親はいらないでしょ・・・なんて・・・
「あの人が母親らしいことなんてしたことないじゃない・・・」
わかっているのは・・・そんな母親から・・・

私は捨てられたってこと。


別に今更と思う。
今まであの人に期待なんかしたことはなかった。
でも私はあの人から捨てられた。

こんなこと敦賀さんには知られたくない。

たった一人の身内からも愛されなかった。
こんな私を誰が愛してくれる?

「敦賀さん・・・」
誰でもない、あなたにはこんなこと知られたくないんです。
・・・こんな醜い人間だとは知られたくないんです。
もしも・・・あなたがこのことを知ったとき・・・変わらず私を好きでいてくれますか・・・?

♪~
ベッドの横に置いてあった携帯電話の音がかすかに聞こえた。
・・・敦賀さんからのメールだ・・・
私は襲い来る吐き気と戦いながらゆっくりとベッドに戻る。
メールを開くと、そこには敦賀さんからのおやすみメールだった。

『もう眠ったかな?今度はいつ会逢えるかな・・・。君に逢いたい。おやすみ』

また・・・涙が出てきた。
私も・・・逢いたいです。
淋しくて仕方ないんです・・・。
「声だけ・・・少しだけ・・・いいよね?」
少しだけ、少しだけと自分に言い聞かせながら敦賀さんの携帯電話へのコールボタンを押した。

プルルルル
プルルルル

『もしもし?キョーコ?』
「・・・・・・・・」
敦賀さんの声が耳元でして、驚いて切ろうとしてしまった。
自分から声を聞きたくて掛けたはずなのに。
『キョーコ?キョーコ!?どうした!?』
何も話さない私に敦賀さんの心配そうな声が響く。
「・・・あ・・・あの・・・ごめんなさい・・・急に・・・」
『いや、俺は掛けてきてくれて嬉しいけど・・・。どうした?何かあった?』
「いえ・・・何もないんです。おやすみなさい・・・」
ただ声を聞きたかったなんて、そんな失礼なことは言えなくて、おやすみなさいを言って切ることにした。
『待って。キョーコ』
切ろうとした瞬間、敦賀さんが私を呼んだ。
「はい・・・?」
『今、どこ・・・?』
「家にいます・・・けど?」
『今から・・・行っていい?』
「!・・・ダメです。明日も敦賀さんお仕事でしょう?ゆっくり休んでください!」
『でも、何かあったんだろう?だから電話してきたんだろう?』
「!!!」
敦賀さんに心配をかけてしまった。
違うんです。あなたに負担をかけるつもりはなかったんです!!
「違いますよ。ただ・・・たまにはおやすみなさいって・・・電話・・・・で・・・・っ・・うぐっ」
急にまた襲ってきた吐き気に、携帯電話を投げ出してトイレに向かった。
吐くものはなく、出てくるのは苦味のある胃液だけ。
「っはあ、はあ、はあ・・・」

ごめんなさい・・・敦賀さん・・・
私・・・なんでもないんです。
電話なんかしてごめんなさい。
放り出してしまって・・・また・・・心配かけてしまった。
敦賀さんの声を聞いて、少しだけ吐き気が止まったのに。

「・・・・もうやだ・・・」
もう、いっそ・・・消えてしまいたい・・・













・・・・・なんだろう・・・音が・・・聞こえる・・・?
・・・何の・・・音・・・?

ああ・・・これ・・・

ピンポンピンポンピンポン

――――――――!!!

はっと目を覚ますと、私はトイレの壁に寄りかかっていた。
そのまま眠ってしまっていたことに気づいた。

ドンドンドンドン!!!
と、今度はドアを叩く音が聞こえる。
・・・誰!?怖い!!!
「つるがさ・・・・」
ここには居ない人の名前を口にしてしまう。
心配なんかかけたくはないのに・・・!

「キョーコ!!キョーコ!?いないのか!?」
「え・・・敦賀さん・・・?」
どうして・・・?敦賀さんの声・・・?
「キョーコ!!キョーコ!!!」
「あ・・・・」
急いで、ドアを開けに行く。
鍵を開けたとたん扉は開き、そこに居たのは・・・汗だくの敦賀さん・・・。
そして、私はそのまま敦賀さんに抱きしめられた。

「よかった・・・!」
「え・・・・・?」
「電話も途中で・・・インターホン何度押しても出ないから君に何かあったんじゃないかって・・・」
それで・・・来てくれたの・・・?
こんな・・・汗だくになるほど・・・心配・・・
「ごめんなさい・・・」
「キョーコ・・・?」
「・・・ごめ・・・」
「キョー・・・」

私・・・・・なんて・・・迷惑な・・・人間なんだろう・・・・・

「キョーコ!!!!」

遠くで・・・敦賀さんが私を呼ぶ声が聞こえた―――――・・・

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